2013 Fiscal Year Research-status Report
血管新生と免疫寛容を標的とした新しい卵巣癌治療法の開発に関する基礎研究
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25462606
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
嵯峨 泰 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70360071)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | vasohibin-1 / vasohibin-2 / HGF/NK4 / IDO |
Research Abstract |
バソヒビン1を搭載した2型アデノ随伴ウイルスベクターを作成し、スモールスケールで調整したベクターをHEK293細胞に感染させたところ、抗バソヒビン1を用いたウエスタンブロットにより、細胞内および培養上清中へのバソヒビン1発現が確認できた。また、バソヒビン1が分泌された培養上清が、VEGFによって刺激されたヒト臍帯静脈内皮細胞の増殖を抑制することを確認した。現在、動物実験に向けて大量調製を進めている。様々な婦人科悪性腫瘍のパラフィン包埋組織切片を対象に、抗バソヒビン2抗体を用いた免疫染色によりバソヒビン2の発現を検討している。様々な悪性腫瘍組織でバソヒビン2の発現が確認された。現在、臨床病理学的因子との関係を解析中である。また、様々な婦人科悪性腫瘍細胞株のバソヒビン2発現を定量的RT-PCR法で測定したところ、多くの細胞株で発現が認められた。特に子宮頸がん細胞株群において他の発がん因子と関連する傾向がみられたことから、さらなる解析を行っている。バソヒビン1強制発現細胞のIDO発現を検討したところ、これまで報告のない傾向がみられたため、再現性を検証中である。NK活性を持つ白血病細胞株(NK92、KHYG-1)に、HGF/NK4発現ベクターをリポフェクション法やエレクトロポレーション法を用いて遺伝子導入を試みているが、現時点で安定的導入株は得られていない。今後は他の遺伝子導入法を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バソヒビン1搭載2型アデノ随伴ウイルスベクターの作成、および婦人科悪性腫瘍を対象とした抗バソヒビン2抗体を用いた免疫染色による検討、は予定通り遂行できている。IDOを標的とした分子標的免疫療法に関する研究は、既存の分子標的薬剤ではなく、これまで報告のみられない因子が有効である可能性を示唆する実験結果が得られ、さらなる発展が期待できる。一方、IDOを標的としたHGF/NK4による強化型ナチュラルキラー細胞療法の基礎検討は、安定的強制発現株の樹立に成功しておらず、新たな遺伝子導入法の検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
バソヒビン1搭載ウイルスベクターによる血管新生抑制遺伝子治療およびバソヒビン2を標的とした血管新生抑制分子標的治療に関する検討は順調であり、このまま予定通り遂行する。IDOを標的とした既存の分子標的薬剤による分子標的免疫療法については、新たな因子との関連について検討を進める。IDOを標的としたHGF/NK4による強化型ナチュラルキラー細胞療法に関しては、他の遺伝子導入法を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は動物実験の実施がなく、in vitro実験中心のため、すでに購入済みの消耗品で研究遂行が可能であったため。 次年度は高価な免疫不全動物を用いた実験が中心となるため、予算を全て執行する予定である。
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