2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462613
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
森定 徹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70317923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 明浩 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50306726)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リンパ管内皮細胞 / リンパ管腫 / 婦人科悪性腫瘍 |
Research Abstract |
子宮がん、卵巣がんをはじめとする婦人科悪性腫瘍の予後を評価する上で、リンパ節転移は重要な因子である。つまり婦人科癌治療の一層の向上を目指すためには、リンパ行性転移の分子機構を解明するための研究は重要である。この研究を遂行するために必須であるヒトリンパ管内皮細胞を大量に集めることは非常に難しいが、小児外科領域の疾患であるリンパ管腫は他に類を見ないリンパ管内皮細胞の豊富な組織である。申請者らはすでに研究分担者とともに、インフォームドコンセントの得られたリンパ管腫症例の切除検体を材料としてヒトリンパ管内皮細胞の抽出・培養を行い、得られた培養細胞にヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)を導入して不死化・細胞株樹立・安定化を行ってきた。 悪性腫瘍局所の微小環境では、宿主の免疫応答が生じ、様々な炎症性サイトカインが産生され腫瘍増殖に関係するとされている。炎症や腫瘍局所では血管内皮細胞の接着因子の発現が上昇することが報告され、腫瘍細胞と内皮細胞の接着に関与することが示唆されている。そこで、炎症性サイトカインTNF-alpha投与による当不死化リンパ管内皮細胞株のVCAM-1、ICAM-1、E-selectinなどの細胞接着分子の発現の変化を検討した。結果としてこれら接着因子の発現の上昇を確認し、本リンパ管内皮細胞にも血管内皮同様の炎症性サイトカインへの反応性があることを確認した。 次いで、リンパ管内皮細胞株と婦人科癌細胞株との共培養の系を用いた、リンパ管内皮細胞と腫瘍細胞の相互関係に寄与する分子機能の解析のために、申請者の研究室に準備されている子宮頸がん細胞株(SKG1、SKG2)それぞれに蛍光色素による標識を行い、リンパ管内皮細胞との供培養の系を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
不死化リンパ管内皮細胞の安定した供給ができるようになるための培養技術の習熟に時間を要した。また子宮頸がん細胞株を蛍光色素で標識する実験系の立ち上げのための試行実験に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者と協議、協力して、リンパ管内皮細胞と腫瘍細胞の共培養の系を効率よく確立する。リンパ行性転移を来たすモデルマウスの確立については、Hela細胞を用いた既存のモデル以外に、マウスへの腫瘍移植と生着が確実にできるマウス腫瘍由来の細胞株の入手にも努める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の実験計画を鑑みて効率的な物品調達を行ったため。 次年度の研究費と合わせて、腫瘍転移モデルマウス作成のための実験資材、消耗品購入にあてる予定である。
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