2013 Fiscal Year Research-status Report
原発性腹膜癌の病因病態を解明するための分子病理学的検討
Project/Area Number |
25462617
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小宮山 慎一 東邦大学, 医学部, 准教授 (80256312)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 腹膜癌 / 網羅的解析 / バイオマーカー / 分子標的 / ribosomal protein / cytokine / chemokine |
Research Abstract |
原発性腹膜癌の病因病態に関連したバイオマーカーもしくは分子標的治療の候補の検索を行う目的で、原発性腹膜癌7例の初回手術時に摘出した腫瘍組織を用いて、網羅的遺伝子解析を行った。具体的には37584個のプローブを有するOpArrayを用いてRNAマイクロアレイ解析を行い、正常腹膜組織の発現プロファイルと比較した。また発現が有意に変動していると考えられる遺伝子に関しては、realtime RT-PCRにより定量化を行った。その結果、共通して2倍以上発現の亢進している遺伝子(up regulated群)は298遺伝子、2倍以上減弱している遺伝子(down regulated群)は322遺伝子であった。KEGGおよびGenMAPPのデータベースを用いて、統計学的に有意なpathwayを検討した結果、up regulated群では、cytoplasmic ribosomal proteinであるRPL9、RPL10、RPL12、RPL19、RPL27A、RPL31、RPS3、RPS4X、RPS15A、RPS18およびchemokineであるCCL5が、一方down regulated群では、cytokine/chemokineであるIL6、CSF1、CSF3、KITLG、CCL2、CXCL1、CXCL2、CXCL3、INFA17が、それぞれ有意な変動遺伝子として抽出された。これらはいずれも定量的realtime RT-PCRによって再現性を確認した。本研究によって、原発性腹膜癌の病因病態に関与すると考えられる遺伝子プロファイルが判明した。これらの分子が、本疾患の解明および治療への応用におけるbiomarkerおよび標的分子になりうることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の利用する目的で事前に設立されたTissue Bankにおける腫瘍組織の保管状況および腫瘍組織のqualityが予想以上に劣悪であり、とりわけ後者の問題が大きいことが判明した。よって、今後更にTissue Bankを改良し、本研究に用いることができる検体を充実させる必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述のように、今後更にTissue Bankを改良し、本研究に用いることができる検体を充実させる必要があるとともに、新たな検体収集を行うべく、務める予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述のように、Tissue Bankに登録された組織検体の保管状況および組織自体のqualityが極めて不良であり、当該年度に施行すべき研究が十分に行うことができなかった。これにより当初予定していた消耗品費が大幅に減少した。 今後Tissue Bankを再構築の上、当初の予定の研究および次年度の研究を、併せて施行する予定である。
|
Research Products
(12 results)