2013 Fiscal Year Research-status Report
老人性難聴発症の分子機構を規定するmiRNA・標的遺伝子群の同定
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25462629
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野口 佳裕 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (50282752)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 老人性難聴 / 内耳 / 蝸牛 / 加齢 / マイクロCT / mRNA |
Research Abstract |
マイクロRNA(miRNA)は、生物学的プロセスをコントロールする遺伝子発現の重要な調節因子である。我々は加齢性難聴モデルマウスC57BL/6において、月齢1カ月、10カ月、16カ月のマウス蝸牛に対する網羅的miRNA発現解析を行い、非階層クラスター分析にて老人性難聴の発症に関与しうる32の候補miRNAを選別した。本研究では、これらの32のmiRNAの中で、加齢に伴い発現量が上昇した12のmiRNAを研究対象とし、定量PCR、in situ hybridizationなどの手法を用い、老人性難聴という生物学的プロセスに重要で中心となる調節因子を明らかにする。特定のmiRNAと標的遺伝子群を同定することで、遺伝的素因が複雑に絡み合った老人性難聴発症の分子機構を総括的に捉えることを目的としている。 本年度は、加齢性難聴モデルマウスC57BL/6非加齢性難聴モデルマウスC3H/Heを実験の対象モデルマウスとした。月齢1カ月および10カ月の各マウスから蝸牛を摘出し、RNAlaterで満たされたマイクロチューブ内に収集し、-20℃にて冷凍保存した。マイクロチューブ内の細胞を粉砕し、MirVanaTMRNA isolation kit(Invitorogen)にてtotal RNAを分離する。Total RNAをDNase I (Invitorogen)で処理し、MirVana qRT-PCR miRNA-specific RT-primerとSuperScript III Reverse Transcriptase(Invitorogen)にて逆転写した。定量PCRにて、1カ月から10カ月の間に、C57BL/6にて発現が上昇し、C3H/Heにて発現に変化のないmiRNAを現在特定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蝸牛の収集は、各マウスにおいて左右別々のマイクロチューブに保存し、それぞれを定量PCRにて解析した。しかし、左右別の試料において再現性のある結果が得られていない。今後は、対象とする月齢を1カ月と10カ月の2つのタイムポイントからより多くのタイムポイントとすること、複数回の実験を行うことで再現性のある実験成果を導く必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢に関与する特定のmiRNAを同定するためには、再現性のある実験結果が必須となる。そのためには、対象とする月齢を1カ月、4カ月、7カ月、10カ月などより多くのタイムポイントとすること、各マウスにおける蝸牛の収集を現在の2つではなく4つ以上に分けて解析し再現性を確認することを計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
飼育マウス数および解析用試薬にかかる物品費が少なかったため次年度使用額が生じた。 今後は対象とするマウス月齢や収集サンプル数を増加させ本研究を推進する予定であるため、飼育マウス数増加に伴う飼育費用(床敷、餌代など)や増加が見込まれる解析用試薬などの物品費に使用する計画である。
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