2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462635
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
楯谷 智子 京都大学, 白眉センター, 助教 (10512311)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | cochlea / hair cell / supporting cell / development / differentiation |
Research Abstract |
本研究は哺乳類蝸牛を研究対象とし、実験はマウスを用い、シグナル伝達系を複数操作し蝸牛感覚上皮発生各時期における関与・相互作用をみる実験を行なった。生体内での操作は遺伝子改変マウスによって行い、試験管内の培養蝸牛での操作は遺伝子導入(プラスミドベクターを電気穿孔法で)あるいは培地に薬品を添加することで行なった。ヘッジホッグシグナル伝達系に関する遺伝子改変マウス培養蝸牛にNotchシグナル伝達系、FGFシグナル伝達系を操作する薬品を添加した実験により得られた結果の一部は、これまでの研究結果に統合して論文発表した。( Tateya T et al. Development. 2013 Sep;140(18):3848-57.)また、Notchシグナル伝達系に関する遺伝子改変マウス培養蝸牛にヘッジホッグシグナル伝達系、FGFシグナル伝達系、BMPシグナル伝達系のそれぞれを操作する薬品を添加する実験も行なった。その研究結果の一部は学会発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヘッジホッグシグナル伝達系を促進させると、蝸牛感覚上皮前駆細胞から有毛細胞・支持細胞への分化が遅れることがわかった。このヘッジホッグシグナル伝達系の作用は、FGFシグナル伝達系阻害薬および抗FGF20抗体によってキャンセルされた。このことより、ヘッジホッグシグナル伝達系による前駆細胞維持効果はFGFシグナル伝達系特にFGF20を介することが示唆された。一方、Notchシグナル伝達系を促進させると、有毛細胞数が減少するが、支持細胞はさほど増加せず、多くは前駆細胞の状態で留まっていることがわかった。Notchシグナル伝達系と他のシグナル伝達系の組み合わせによる効果については、現在実験を進めているところであるが、おおむね予想通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
シグナル伝達系を複数操作し蝸牛感覚上皮発生各時期における関与・相互作用をみる実験を継続する。また、有毛細胞あるいは支持細胞への分化を進める鍵であると考えられているNotchシグナル関連因子については発現レベルが変動している可能性があり、遺伝子改変マウスを用いてその発現レベルを追い、さらには光刺激で発現制御が可能なベクターを培養蝸牛に導入して発現レベル変動の意義を調べていきたい。
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Research Products
(5 results)