2015 Fiscal Year Annual Research Report
人工内耳および補聴器装用者の音源定位、両耳分離能、両耳合成能の研究
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25462658
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
加我 君孝 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 臨床研究センター(政策医療企画研究部), 名誉臨床研究センター長 (80082238)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人工内耳 / 補聴器 / 方向感検査 / 両耳時間差 / 両耳音圧差 / バイオーラル / バイモダル / 両耳分離能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は両側人工内耳装用の成人で健聴者と同様の両耳聴を獲得できることがわかったので、以下に症例を紹介する。 両耳同時処理には両耳分離能と両耳融合能があり、両側人工内耳(以下、CI)の中枢レベルの同時処理についてスピーカー法による音源定位を用いた両耳融合能の研究報告はあるが、両耳分離能の報告はこれまでにほとんどない。われわれは、両耳にコクレアの人工内耳を装用した41歳女性に対し両耳分離能検査(DLT)を行った。症例は27歳時突発性難聴により約70dBの聴力となり、30歳で完全失聴した。1st Implantから2年目、2nd Implantから1年目に行った結果は、CI装用下閾値20-25dB、言語聴取(57-S表)右72%、左66%の正答率で日常会話も良好、DLTは右88.9%、左96% Laterality index -0.036であった。本症例は両耳分離能検査で、ほぼ正常者に近い成績を示したことから、両耳CI手術により中枢レベルでの両耳同時処理の再獲得が高いレベルで可能であることを示している。 両耳補聴器装用者について、①成人の感音難聴症例と②両側外耳道閉鎖症例の両側外耳道形成後に両耳カナル型補聴器装用症例に対し調べた。両群とも両耳聴が成立することがわかった。 以上、人工内耳でも補聴器でも両耳の脳中枢処理が再獲得されることが証明された。
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