2014 Fiscal Year Research-status Report
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25462674
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅野 彰剛 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (20578968)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 舌癌 / 再建術 / 脳磁図 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究テーマとして、「舌の体性感覚神経基盤の解明」にて採用された。本研究の内容であるが、本研究課題では、口腔領域の悪性腫瘍の約60%を占める舌に着目し以下の2つの論点について脳磁図の髙い時間・空間解像度を用いて検討している。【論定1】健常人における舌の体性感覚誘発磁界反応について、高齢書および20歳前後の若年成人に違いがあるかを検討する。【論点2】舌癌に対する外科治療後に遊離皮弁による再建手術を受け機能回復を認めた患者を対象に、機能回復した感覚の神経基盤について脳磁図を用いて明らかにする。上記の2つの論点を明らかにするために現在まで、脳磁計を用い、新しい口腔内電気刺激装置を、歯科医師と共同で開発し、患者群8名、健常者群30名の計測が済んでいる。これからも継続して被験者募集を続け、計測を続ける予定である。実験期間は、採用年度からの科研費のために2013年4月から2016年3月の予定であり、十分、当初の目的を達成することができるペースで研究が進んでいると考えている。成果発表であるが、国際専門誌への論文化を目指しており、これまで舌の体性感覚に対する加齢の影響は論文化されておらず、さらに舌癌再建術後に可塑性等、機能評価をした研究はなく、論文になると考える。本研究の成果は、今後の舌癌患者に対する残存機能評価および再建術後の可塑性について証明することができる。この舌癌術後の残存機能及び可塑性による機能回復が証明されれば、舌癌が口腔領域の悪性腫瘍における60%を占める事を考えると、一度失われてしまった質感に関し再生医療により新たに得られた機能の神経基盤を明らかにすることで社会認知科学全体にとって大きな意義を持ちものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間に2つの脳活動測定を脳磁図を用い行い、上記の論点1と論点2を解決する予定で進めている。実験1として、舌刺激による特異的な脳活動を、高齢者群と若年成人群を対象にマウスピース型多点電気刺激装置を用い脳磁図で誘発脳磁界反応反応を計測し比較する。これによって一次体性感覚野の活動に加齢の影響があるのか【論点1】が明らかになる。実験2では、舌癌に対し遊離皮弁による再建手術を受け、感覚の回復を示した患者を対象に、マウスピース型多点電気刺激装置を用い脳磁図で計測する。回復した感覚が残存舌からの入力によるものか、再建舌からの入力によるものか、さらに大脳皮質の機能局在に変化があるのかが明らかになる【論点2】。これまで、新しい刺激装置の開発を進めながら舌癌患者8名、健常者群30名の計測を行った。今後も刺激装置の開発を進めながら舌癌患者および健常人を募集し研究を進める意向である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に作成したシステムの電気刺激装置及びアイソレータを用い、計測を継続する。個人毎に最適のマウスピース型多点電気刺激装置がハンドメイドの為時間を要するため、実験1および実験2を平成25年度、平成26年度に引き続き実験を続ける必要がある。マウスピース型刺激装置を多チャンネル化およびランダム刺激を行うことにより、健康な舌と再建手術により新たに作られた舌の機能評価を詳細にすることが可能となる。今後も新しい刺激装置の開発と、同時に舌癌患者で再建手術を受けた方とボランティアを募集し研究を進める意向である。舌癌患者では、再建術後に経過観察として計測が可能であれば経時的に機能評価を行う意向である。さらには、同刺激装置を用い、刺激電流の与え方を変え、電気味覚として機能評価も追加する予定である。
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