2013 Fiscal Year Research-status Report
IgG4関連疾患の病態の解明と新規分子を標的とした治療戦略の新展開
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25462675
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
太田 伸男 山形大学, 医学部, 講師 (20282212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 裕子 羽陽学園短期大学, 幼児教育科, 准教授 (40442016)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | IgG4関連疾患 / ぺリオスチン / IL-17 / 自己免疫膵炎 / バイオマーカー / TGF-beta |
Research Abstract |
IgG4関連硬化性疾患は新しい疾患概念で唾液腺、涙線、甲状腺、膵臓、胆管などに硬化性病変が認められる全身性疾患である。唾液腺に初発することが多いが進行して膵炎や胆管炎を合併すると重篤となる。この原因は、CD4やCD8陽性Tリンパ球とIgG4陽性形質細胞が局所に浸潤し激しい炎症を惹起すると同時に強い硬化性病変を誘導する自己免疫疾患と考えられているが、その病態は不明な点が多い。この病態の本体の一つである線維化にはTh17細胞とペリオスチン分子が関与していると推測される。IgG4関連硬化性疾患の低侵襲的な診断法の開発、その病態の解明と全身合併症の発症を予測するバイオマーカーの確立さらに関与する分子を標的とした治療方法の開発が本研究の目的である。 今年度は、安全確実で低侵襲な診断方法の開発と疾患管理上有用なバイマーカーの確立のため、IgG4、IgG4/IgG(IgG全体に占めるIgG4の割合)、Th17細胞数、Th1とTh2のインバラスの有無、血清中および組織中のぺリオスチンの濃度などが疾患活動性の指標および自己免疫膵炎などの全身合併症の発症を予測するバイオマーカーとなる可能性ついて、さらにIgG4濃度と局所の線維化の程度、Th17細胞およびペリオスチンの発現との関連等について検討した。その結果、全身合併症としては自己免疫膵炎が最も多い傾向が認められた。全身合併症を有する群では、IgG4およびIgG4/IgGの値が高い傾向が認められた。IgG4関連疾患で、IgG4およびIgG4/IgG値が高値の場合、全身合併症を併発する可能性が高く、注意深い経過観察が必要になると考えられた。また、唾液腺組織にIL-17陽性細胞数、ぺリオスチンとTGF-betaの発現も増強しており、IgG4関連硬化性疾患の線維化に有用な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた研究内容はおおむね順調に進展しており、研究成果は下記の欧文誌等および関連学会にて報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策であるが、IgG4関連硬化性疾患に対するIL-17やペリオスチンを標的とする治療方法の開発は現有する機器と試薬で施行可能であり、研究計画の変更の予定はない。研究の最終年度であり、研究成果を国際学会(米国耳鼻咽喉科頭頸部外科学会議など)や欧文誌(Laryngoscopeなど)にて報告する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
使用する免疫組織用の抗体等の消耗品の購入に時間を要し、納品が次年度に繰り越しとなったため。 使用する抗体等の消耗品の納品は遅れたが、次年度の早い時期に納品される予定であり、研究の遂行には問題ない。
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