2013 Fiscal Year Research-status Report
高分子ミセル型ナノメディシンを用いた革新的な頭頸部腫瘍治療法の開発
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25462690
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
木村 美和子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 政策医療企画研究部, 研究員 (00376435)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 頭頸部腫瘍 / ドラッグデリバリーシステム / ミセル |
Research Abstract |
本研究では、リガンド搭載高分子型ミセルを用いた頭頸部腫瘍を標的としたテーラーメイド・ドラッグデリバリーシステム(T-DDS)を構築することを目標にしている。そのため、平成25年度は疾患モデルマウスの安定化と共に、DDSキャリアの最適なサイズの検討や、高分子ミセルに導入するリガンド分子の種類や量の最適化を行った。 高分子ミセルを構成するブロックポリマーを合成し、オキサリプラチン活性体を内包させ、DDSキャリア表面へリガンド分子を導入した。高分子ミセルの調整に関しては、ブロックポリマーの組成比、内包薬物の仕込み比などを任意に変更することで、30nm、 70nmの粒径のミセルを準備した。粒径については動的光散乱測定、ゲルパーミエーション・クロマトグラフィーを用いて評価した。内包薬物量に関してはICP-MSを用いて測定した。 毒性試験に関しては、ヒトの頭頸部腫瘍由来のがん細胞であるFaDuに対する増殖抑制作用をin vitroで評価を行った結果、本研究のミセルが有用であることが確認された。 疾患モデルマウスに関しては、下咽頭癌同所移植モデルを中心に作成した。これまでは、Olympus社製の径1.2mm針状硬性鏡を用いてマウス下咽頭を確認し、細径ガラス注射器で腫瘍細胞懸濁液を下咽頭梨状陥凹部の粘膜下に注射していたが、頸部の固定や喉頭展開が不十分であるため、咽頭腔の小さいヌードマウスでは視野が不良の場合がある等の短所があり、大量の同所移植モデル作成は困難であった。そこで、本研究提案ではSolve社製マウス挿管台を用いてマウスを十分に保定し、同社製クリニウスラット・マウス気管内挿管セットを用いて、喉頭展開し固定することで良好な視野が得られた。硬性内視鏡の視野も補助として用いることで、より効率的なモデルマウス作成が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミセル調整が可能となり、毒性試験が終了し、モデル動物を安定して供給できる体制となっており、最初の計画通り、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に検討した条件でサイズ等を調整され、リガンドを搭載した高分子型ミセルを用いて、in vivo で詳細に検討を行い、テーラーメイド・ドラッグデリバリーシステム(T-DDS)を構築する。血管内皮細胞に過剰発現しているαvβ3、αvβ5インテグリンレセプターを特異的に認識する環状型のRGDペプチドやトランスサイトーシス誘起性のトランスフェリン受容体に対するFabなどの異なる複数のリガンド分子を導入したDDSキャリアを用いて、細胞内動態について詳細に検討し、治療効果、その効果のメカニズムを明らかにする。 In vivoの実験では、平成25年度に検討した方法で頭頸部腫瘍細胞のLuc導入細胞やGFP導入細胞を同所へ移植した疾患モデルを使用し、IVIS Imaging system やin vivo 共焦点レーザー顕微鏡にてDDSキャリアの体内動態、腫瘍増殖抑制効果を明らかにする。In vivo共焦点レーザー顕微鏡にてDDSキャリアの体内動態を確認する際には、Dorsal Skin fold Chamber内に培養した腫瘍を移植する方法、もしくは、同所移植した腫瘍を露出させてSkin Flapを作成する方法を用いて視野を固定した後にin vivo 共焦点顕微鏡にて観察する。また、蛍光ラベル化されたミセルを用いて生体内での動態を直接的に観察することで、ミセルの逐次的な腫瘍浸透性についても考察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
モデル動物作成実験の目途が立ったところで、年度末となり、1012円の残額が生じた。 平成26年度はin vivo実験を中心に行うため、薬品購入等に使用する。
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