2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462691
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
齋藤 康一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40296679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩丸 有史 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (00296592)
座間 猛 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (30296719)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部腫瘍 / 遺伝子 / 診断 / 治療 |
Research Abstract |
本年度は、頭頸部癌におけるスモールRNA研究の基礎となるマイクロRNAに関し、検討を深めた。組織検体でのスクリーニング結果をもとに、標的とするマイクロRNAを疾患特異的に上昇を認めたmiR-130b-5p、miR-196a、miR-455-5p、ならびに減少していたmiR-133bの4つに絞り込んだ。とくに良性、前癌病変、癌と段階的な上昇を認めたmiR-196aに関しては検体数を増やし、早期癌と進行癌、あるいは良性疾患と前癌病変の間でも発現量に差異があることを突き止めた。さらに、このmiR-196aは、喉頭癌の非癌部分の扁平上皮では発現を認めず、癌組織ならびにその周囲の間質で発現していることも、組織学的検討により確認した。また、miR-196aの阻害剤により、頭頸部癌細胞の増殖を細胞レベル(in vitro)ならびに動物レベル(in vivo)で抑制することも突き止めた。 これらの結果については、"MicroRNA-196a Is a Putative Diagnostic Biomarker and Therapeutic Target for Laryngeal Cancer"としてPLoS One. 2013 Aug 14;8(8):e71480.誌上に発表した。 また、近年悪性腫瘍との関連が注目されているヒト乳頭腫ウイルス感染症のひとつである喉頭乳頭腫に関しても外科的・薬物的治療といった臨床面ならびに関連しているヒトパピローマウイルスのタイプと臨床的な悪性度の関連などについての基礎的研究をすすめ、日本耳鼻咽喉科学会総会のシンポジウムにおいて講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までのところ、論文でも発表したが、喉頭癌組織において、非癌組織と比較してmiR-130b-5p、miR-196a、miR-455-5pが発現の上昇を認め、一方でmiR-133bに関しては癌組織で発現が低下していることを確認した。これらの結果を、論文発表レベルまで検証できたことは、新規スモールRNAの研究の基礎となる我々独自の結果として重要視しており、大きな進歩と考えている。今後、これらマイクロRNAの挙動にも関与するようなスモールRNA、という観点からも検討を加えていきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
多数の臨床検体を用いてスモールRNA発現の検討を進める。同時に、耳鼻咽喉科業界において喉頭乳頭腫の治療に積極的に取り組んでいることが認知され、患者が増えてきていることから、頭頸部難治性腫瘍としての乳頭腫に関しても検討を加えていきたいと考えている。
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