2013 Fiscal Year Research-status Report
間葉上皮転換(MET)誘導による頭頸部癌転移抑制と癌幹細胞形質制御の研究
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25462692
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今西 順久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80255538)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 頭頸部扁平上皮癌 / EMT(上皮間葉転換) / E-cadherin / Cox2 / 頸部リンパ節転移 / 癌幹細胞 / 転写因子 / 多変量解析 |
Research Abstract |
1) E-cadherin低発現頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞に対し,選択的Cox2阻害によるEMTの抑制(E-cad発現増強と遊走運動能抑制)を介した抗腫瘍効果が示唆された。舌扁平上皮癌凍結組織標本の検討において,Cox2とE-cad転写抑制因子の発現亢進,およびE-cad発現低下はいずれも悪性度と進行に関与しており,特にE-cad発現低下は多変量解析における頸部LN転移の独立規定因子であった。 2) Flt-4発現HNSCC細胞に対するFlt-4刺激および阻害において,細胞選択的にCNTN-1,VEGF-C自身の発現変化が認められ,VEGF-Cにparacrine作用のみならず癌細胞自身に対するautocrine作用が存在すること,さらに細胞増殖能・遊走能いずれも亢進/抑制されることが示唆された。頭頸部扁平上皮癌組織標本を用いた臨床病理学的因子に関する多変量解析の結果,癌細胞におけるFlt-4陽性は頸部LN転移の独立規定因子であった。 3) DNA結合色素を用いた色素排泄法によるflowcytometryにおいて,舌扁平上皮癌細胞株におけるside population (SP)分画は0.9~10.2%に認められ, SP細胞とnon SP細胞の間で癌幹細胞関連遺伝子の発現を比較したところ転写因子Oct3/4,Nanogの発現はSP細胞で顕著に高く,HNSCC癌幹細胞の指標である可能性が示唆された。 4) 唾液腺導管癌の臨床統計学的検討において無病3年生存率は29.2%、疾患特異的3年生存率は72.7%で,多変量解析における無病生存率の独立予後因子は年齢とT分類であった。HER2,アンドロゲン受容体発現陽性率は各々50%,100%と高率で,予後との相関は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
連携研究者の異動に伴い実験スケジューリングに制約が生じたこと,HNSCC細胞への遺伝子導入において効率が不十分且つ導入細胞自体のselectionに難渋していること,臨床組織標本の検討において臨床統計に必要な経過観察期間の延長を要したこと,病理組織学的事項の再評価にも予測以上の期間を要したこと,などが要因で当初の計画に遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
HNSCC細胞へのFlt-4-dominant negative (Flt-4-dn)導入による安定発現株の樹立が困難であることから,in vivo modelに必ずしも拘らず, in vitroレベルでの表現型の変化の評価を優先して検討を進める。 なお平成26年4月より,研究代表者自身に異動があり,所属が慶應義塾大学医学部から杏林大学医学部に移動したため,実験研究環境を新たに構築する必要があり,その状況に合わせて研究計画内容についても修正を要する可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた参加学会の出張経費について他の研究資金により充当することができたため,および効率的な物品調達を行うことができたため。 次年度の研究費と合わせて,必要な消耗品購入・謝金などに充当する予定である。
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