2014 Fiscal Year Research-status Report
新規T細胞特異的サイトカインIL-17による慢性扁桃炎発症の分子メカニズム
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25462694
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
一針 幸子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30327803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠 威志 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30248025)
池田 勝久 順天堂大学, 医学部, 教授 (70159614)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 習慣性扁桃炎 / 扁桃肥大 / 病巣感染症 / リンパ球 / IL-17 / CD4+ |
Outline of Annual Research Achievements |
扁桃は上気道におけるMALT(mucosa associated lymphoid tissue)として重要な器官であるが、単に細菌感染というだけでなく、反復性感染を来し炎症の遷延化により掌蹠膿疱症や慢性腎炎、IgA腎症等の病巣感染などの全身症状を引き起こす扁桃炎の起因として溶連菌などの細菌感染やウイルス感染が考えられるが、免疫臓器である扁桃において、それら外来性抗原に対し抗原提示細胞からTリンパ球を刺激し抗体産生細胞となりえるB細胞との相互作用の免疫応答がおこり生態の恒常性を維持している。 一方でインターロイキンー17(IL-17)は最近発見されたT細胞特異的なサイトカインであり、上皮細胞、内皮細胞や線維芽細胞などに作用してIL-1β、IL-6, TNFα、G-CSFなどの炎症性サイトカインやIL-8などのケモカインの産生を誘導し、炎症反応において重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。 扁桃炎におけるIL-17の関与を解明し、また習慣性扁桃炎、扁桃肥大、病巣感染症などの各疾患におけるその発現量の違いを解析し、それぞれの疾患の病態の違いを見された。すなわち各扁桃炎疾患により摘出した扁桃リンパ球、コントロールとして同一患者の末梢血リンパ球を分離しFACS, Western BlottingによるIL-17蛋白発現量に相違を認めた。またCD4+は扁桃の濾胞間に多数局在しており免疫応答に深く関わっているが摘出した扁桃の凍結切片を作成し免疫染色にてIL-17の局在、発現量を解析した。また、In vitroにて分離した扁桃B細胞をpokeweed mitogenを用いた結果、T細胞を介したB細胞活性化の実験系にてIL-17の抗体産生への関与を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出した扁桃のリンパ球、コントロールとして同一患者の末梢血リンパ球を分離し、 protease inhibitor入りのバッファーにて組織を融解し、その特異的抗体を用いて免疫沈降しその後通常のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、メンブレンに移し、化学発光を用いたWestern blottingにて解析、またLAS-1000(FUJI)を用いて検出及び定量を行うことができた。扁桃よりリンパ球を分離し、12穴のプレートに培養する。PBSにて洗浄した後、細胞膜を0.25%トリプシン-0.01%EDTAによって浸透化する。CD4,CD27、IL-17の抗体と30分間反応させ、洗浄後にFITC標識ヒツジ抗マウス抗体と反応させて、FACSにて測定した。扁桃の濾胞間に多数局在しており免疫応答に深く関わっているCD4陽性細胞を摘出した扁桃の凍結切片を作成し免疫染色(二重染色)にてIL-17の局在、発現量を解析した。In vitroにて分離した扁桃B細胞をpokeweed mitogenを用いてT細胞を介したB細胞活性化の実験系を確立する。抗IL-17抗体使用したIL-17の抗体産生への関与も検討した。 以上の結果からIL-17は新しい慢性炎症に関与するサイトカインであるが耳鼻咽喉科領域においての研究成果はほとんどない。耳鼻科における代表的な慢性炎症性疾患、扁桃炎において慢性炎症性マーカーIL-17を解析することは世界に先駆けてこれらの疾患の病態、またその違いを見出す事が出来た。扁桃炎の発症に関わる限定されたIL-17に対する抗体投与等により特異的治療や予防の可能性も示唆され、臨床にフィードバックされるものと考える。そして将来的には、今日耳鼻科領域において、日常頻繁に行われている扁桃摘出手術の適応にも影響を及ぼす可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
IL-17は主として活性化CD4+細胞から産生され炎症の成立に関与すると考えられており、最近IL-17と慢性炎症疾患との関係が注目されるようになっており、病巣扁桃炎の病態へのIL-17の関与と発症機序に作用することを分子レベルで証明することとする。CD4+は扁桃の濾胞間に多数局在しており免疫応答に深く関わっているが摘出した扁桃を用いてIL-17の局在、発現量を解析する。また、In vitroにて分離した扁桃B細胞をpokeweed mitogenを用いて、T細胞を介したB細胞活性化の実験系にてIL-17の抗体産生への関与も検討する。
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Causes of Carryover |
研究に必要な消耗品等、当初の予定よりも安価に抑えることが可能になった為。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
In vitroにて分離した扁桃B細胞をpokeweed mitogenを用いた、T細胞を介したB細胞活性化の実験系にて行うIL-17の抗体産生への関与の検討等、更なる有効な研究結果を得るべく、短期的に予算計画を検討・確認しながら使用していく。
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