2013 Fiscal Year Research-status Report
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25462697
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Research Institution | The Tazuke Kofukai |
Principal Investigator |
山下 勝 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究員 (10635519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 眞一 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第5研究部, 研究主幹 (00271510)
中村 達雄 京都大学, 再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 声帯 / 代謝回転 / 創傷治癒 / マウス / 内視鏡手術 / 骨髄移植 / 骨髄由来間葉系細胞 |
Research Abstract |
声帯の粘膜はわずかな粘弾性を中心とする物性・質量の変化により、たとえ筋肉を中心とする運動系が正常に機能していても大きな機能障害を生じる。この声帯の物性を調節する因子の解明がさまざまな声帯疾患治療の鍵となる。特にもし存在するとするならば、局所の組織幹細胞あるいは骨髄から全身を循環する細胞中の幹細胞が正常組織においても老化した細胞にとって替わっていると考えられ、声帯が損傷される際にも早期の治癒機転で関与してくるであろうと思われる。声帯は様々な細胞群で構成されているため、組織幹細胞を直接探すには困難を極めると予想される。ゆえに骨髄由来の細胞が声帯組織構築に寄与しているのかどうかを判明させることが重要である。 マウス声帯における骨髄由来細胞による細胞代謝回転(cell turnover)について検討すべく、GFPトランスジェニックマウスからC57/BL6マウスへの骨髄移植を計画している。この手技により喉頭、声帯での骨髄由来細胞による細胞代謝の有無が判明するとの仮説を立てている。ラットでの事前実験結果より、ドナー大腿骨からレシピエント大腿骨への移植がマウスでも容易に行えると考えていたが、物理的な骨の脆弱性、動物のサイズの縮小より手技の確立に難渋している。マウスにおいて大腿骨を骨折させることなく骨髄移植を行う手技および機器の改良を模索中である。実験遂行に必要な施設面での整備や実験上の事務手続きはほぼ完了できている。 声帯傷害モデルの作成においては傷害を受けたのちの創部の出血や先に移動し局所の分化型細胞となっているであろう骨髄由来の細胞が局所の創傷治癒において重要な役割を果たしていると考えている。同手術に必要な微細機器の作成準備、各種内視鏡(鼓膜鏡など)の試用、記録装置の調達に関する調整を行っている。この機器系統の決定が本研究の基幹を占める部分となるのため慎重に検討を加えている最中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器及び手技上の問題に直面し、当初予定していた骨髄移植モデルの確立に至っていない。大腿骨の開窓に骨を破壊せずに移植を完了することが早急に必要である。 また、声帯障害を作成する微細機器、内視鏡装置の調整・改良に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
まず第一にGFPマウスからC57/BL6マウスへの骨髄移植主義の確立と声帯での細胞代謝回転の機構、時間軸の同定。 上記と並行してマウス内視鏡下声帯手術手技の機器・装置の設置と骨髄移植モデルに対する同手術の施行、評価を行っていく。 その後の評価により、創傷治癒過程の中心を担うたんぱく質や遺伝子の解明を試み、その修飾により創傷治癒過程が変化するか否かを判定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特に高額な光学視管の機器選定に想定以上の時間を要したこと、骨髄移植モデル・声帯傷害モデル両方の動物実験の進行状況が遅延しているため、動物の使用・検体評価に要する一連の購入計画が進んでいないため。 光学視管、手術機器、試薬などの消耗品、学会発表・論文作成などの成果公表に要する経費などに供する予定である。
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