2013 Fiscal Year Research-status Report
新たな治療戦略に向けた眼内増殖性疾患における硝子体細胞の機能解析
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25462704
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
西塚 弘一 山形大学, 医学部, 講師 (60422169)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 増殖硝子体網膜症 / ヒアルロナン / 網膜硝子体疾患 |
Research Abstract |
眼内増殖性疾患の病態解明のために、主に硝子体組織に着目した検討を行った。 1)網膜硝子体疾患における硝子体内のヒアルロナン濃度:種々の網膜硝子体疾患におけるヒアルロナンの関与を調べるため、硝子体手術で得られた検体のヒアルロナン測定を行った。検体中のヒアルロナン濃度は増殖生糖尿病網膜症、増殖生硝子体網膜症、裂孔原性網膜剥離、眼内炎、眼内異物、黄斑上膜、黄斑前膜なのど種々の疾患による差を認めなかった。手術所見における後部硝子体剥離の有無について調べると、後部硝子体剥離のある群ではない群に比べて有為にヒアルロナン濃度が低かった。今後、ヒアルロナン・ヒアルロニダーゼ関連の検討を計画している。 2)硝子体採取法の検討:硝子体手術ではさまざまな機器・設定条件にて硝子体を切除・吸引する。これら機器の設定条件が検体のヒアルロナン濃度に影響するかどうかをブタ眼を用いて検討した。カットレートの違い、20・23・25ゲージによる違いについて検討したところ、得られる硝子体組織中のヒアルロナン濃度に明らかな違いを認めなかった。 3)硝子体手術法の開発:硝子体手術のおける安全な検体採取をめざし、あたらしい眼内レンズ縫着手術法を開発した。鋭針を用いない眼内通糸を行うことが可能な器具を開発し、硝子体手術ポート部を強膜固定部位として使用することにより低侵襲な術式となった。術後成績より良好な視力と、出血などの合併症のリスクが軽減したことを示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
硝子体検体は血液などと違って、手術で採取するのが容易でない。手術加療も兼ねているために採取法を標準化することは不可能であるが、本研究では硝子体手術による硝子体組織の採取について、豚眼を用いた検討により種々の条件で大きな差がないことが確認できた。これらの成果は今後ヒト検体の解析に生かすことができる。また、臨床的アプローチからも安全な硝子体生検にむけた結果として新しい低侵襲な手術法を開発することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
硝子体手術で得られる硝子体検体をさまざまな臨床病態の情報とともに蓄積し、種々のサイトカインーヒアルロナン関連について検討する。サイトカインについては特にVEGFについて着目して解析を行う。また硝子体検体におけるヒアルロナン・ヒアルロニダーゼ関連の検討を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度に購入予定であった物品の発注がキャンセルとなったため。 購入予定であった物品は26年度に購入する。
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