2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜静脈閉塞症眼における虚血定量評価システムの確立
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25462707
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
飯島 裕幸 山梨大学, 総合研究部, 教授 (80114362)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜静脈分枝閉塞症 / 虚血 / 視野感度 / フルオレセイン蛍光造影検査 / 眼底自発蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに出血が吸収された網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)眼について50眼以上で良質のフルオレセイン蛍光眼底造影(FA)画像と対応する時期のハンフリー30-2視野が得られている.FA画像での無灌流面積NPAを定量評価する試みはいまだ成功していない.これはFA画像でのNPA部位の輝度がNPAではない部位の輝度とオーバーラップするためである.引き続き画像処理による評価法の可能性を探索しているが,これと並行して,視野感度,網膜厚の評価と,その経時変化を症例を積み重ねて検討中である. 一方,陳旧期BRVO眼の視野感度低下には,内層網膜虚血以外に,視細胞障害による影響も無視できないことが最近明らかとなってきた.これは眼底自発蛍光(FAF)での低蛍光で他覚評価可能であるが,原因として急性期の網膜下出血や漿液性網膜剥離が関与している可能性がある.現在,急性期のOCT所見と半年以上後の陳旧期FAFとの関連を検討中である.ただしBRVOでの視細胞障害による視野感度低下は比較的軽度で,絶対暗点になることはないことも検証中である. 視野感度低下に及ぼす臨床所見として,これまで出血,浮腫,虚血,視細胞障害が想定されている.このうち出血,浮腫の影響を除外できる陳旧期の浮腫消失BRVO眼では,視細胞障害による視野感度低下が虚血よりもはるかに軽微であるとする事実を踏まえた上で,虚血に由来する硝子体出血予防レーザー光凝固治療の適応決定など実際の臨床での応用では,視野の絶対暗点を評価するのが合理的である.トータル偏差(TD)や平均偏差(MD)によるよりも,絶対暗点の個数で視野評価することの合理性を確認するために,絶対暗点の基準(≦0dB,≦1dB,≦5dB,≦10dBなど)をどのように設定すべきか検討し,その分類とFA画像,OCTでの網膜厚菲薄化との関連を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していたimageJを利用した網膜血管像と血管に囲われた虚血網膜範囲(NPA)描出が,再現性よいデータとして得られないことから,他の画像処理法を探索中である.機能的評価である視野感度に関連させる他覚的形態学的指標として,NPA以外ではOCTによる網膜厚が有力であり,その評価に研究の主体を移行しつつある.ただし,過去のデータではOCTによる網膜厚データが視野測定部位に対応してすべて得られるわけではないことが問題である.新規のデータでSS-OCTによる広範囲の網膜厚データを採用することを検討している.
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Strategy for Future Research Activity |
NPAに代わる形態学的虚血指標としてOCTによる網膜厚あるいは内層網膜厚が有力である.視野感度測定部位に対応する網膜厚,内層網膜厚のデータをSS-OCTを利用して系統的に取得する方策を検討中である.さらに網膜外層の視細胞障害のFAFによる評価法を確立する.またこれらデータの経時的変化を明らかにして,最終目標であるBRVO眼の虚血程度の定量評価法を完成させる.
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