2015 Fiscal Year Research-status Report
網膜光障害モデルを用いた加齢黄斑変性機序追究:責任ゲノム領域の限定エキソーム解析
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25462708
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大石 健太郎 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (80345826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坪 正史 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 助教 (10327653)
尾花 明 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 客員教授 (40194625)
堀田 喜裕 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90173608)
蓑島 伸生 浜松医科大学, 光尖端医学教育研究センター, 教授 (90181966)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 網膜光障害 / エキソーム解析 / ラット / 系統差 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、加齢黄斑変性の動物実験モデルとして、ラット網膜光障害実験モデルを使用している。同障害には系統差が関係するため、我々は、感受性を示すWKY系統と耐性を示すLEW系統を用いた戻し交配を繰り返すことで、同障害の系統差に関与する遺伝子(Rpi1)領域を限局化、Rpi1遺伝子の責任多型を同定し、更に加齢黄斑変性の発症機序解明に繋げることを目指している。 (1)当該研究費申請の段階では、網膜光障害のRpi1領域を4.6 Mb(予測遺伝子数、117)に限局化していたが、本助成期間内に、1.6 Mb(同、70)に限局化した戻し交配個体を作出した。申請当初はデータベースを用いた2系統間の比較により、Rpi1領域内でもRpi1aとRpi1bと名付けた2領域が特に有力だと考えていたが、戻し交配によるWKY由来ゲノム領域の限局化の進展により、Rpi1a領域は無関係であった一方、372 kbのRpi1b領域に存在する可能性は残っている。 (2)Rpi1領域に関して、次世代シーケンサーを用いた領域限定エキソーム解析を実施した。1.6 MbのRpi1領域においては、アミノ酸置換を伴う非同義突然変異と非翻訳領域内の多型を、21遺伝子上に46多型を抽出した。この内、先のRpi1b領域には、5遺伝子上に16多型が含まれていた。 (3)耐性系統ゲノムのバックグラウンド上に1.6 MbのRpi1領域のみが感受性系統ゲノムで構成されているコンジェニック・ラットのラインを確立した。 (4)ヒトAMD患者と対照者の多型解析については、一部の検体について開始している。今後、対象遺伝子およびエキソン、解析検体の数を増加させていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット実験において最終的な遺伝子候補の絞り込みが十分にはできていないため、遺伝子改変ラットの作出およびヒトでのAMD患者と対照者におけるヒト相同遺伝子RPI1の多型に関する症例対照研究については進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で抽出した遺伝子について、特に非同義突然変異を示す12遺伝子を軸に、AMD患者および対照者の多型解析を実施する。 また、ラットのデータベースでは未だ予測されていないが、他の種では存在が予測されている遺伝子、遺伝子予測ソフトなどで遺伝子の可能性が示唆されるゲノム領域などについても検索し、適宜、検討していく。 AMD発症と関連の強い遺伝子多型が認められた場合などには、そのラット相同遺伝子の多型をゲノム編集技術により導入した遺伝子改変ラットを作出し、網膜光障害の表現型の解析を行うことで、感受性遺伝子多型であるか否かについて検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に行う予定だったエキソーム解析を平成28年度にまわしたが、解析が順調に進んだため予想より安くなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度までに樹立したコンジェニック個体の維持費(エサ代、他)とヒトゲノム解析の費用に使用する予定である。
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