2013 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素変性における網膜色素上皮の機能異常と形態異常のメカニズムの解明
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25462709
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上野 真治 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80528670)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜電図 / 網膜変性 / ウサギ / 局所網膜電図 |
Research Abstract |
本年度は、ロドプシンP347LTgウサギ(Tgウサギ)を用いてその変性過程において網膜の部位による変性の程度の差を局所ERGにて検討した。今回は、錐体系と杆体系の両方の局所ERGを記録した。今までウサギの局所ERGを記録したという報告がなかったため、局所ERGを記録する条件を検討した。局所ERGの刺激範囲は通常の臨床で比較的よく用いられる直径15度とした。局所性が保たれているかの確認には、網膜光凝固にて網膜変性部位を作成し、その部位の光刺激では局所ERGが記録できないことによって確認した。記録条件は、今回の検討の結果杆体系の局所ERGは3 phot cd/m2で10 ms、錐体系の局所ERGは30phot cd/m2で100 msで記録することが最適条件であることが分かった。 局所ERGは3か月、6か月、12か月で正常ウサギ、Tgウサギ各6匹から記録した。ウサギでは網膜の視細胞密度が高いとされる、視神経乳頭下方のvisual streakの中心とその周囲4か所の計5か所を15度の円形刺激を用いて記録した。 結果は、暗順応下で杆体系の局所ERGはすべての部位で反応はなかった。このことは、比較的早期から、杆体は変性を起こしていることが推測された。明順応下の局所ERGは、すべての部位で時間の経過とともに局所網膜電図のb-waveの振幅は小さくなっていったが、b-waveの振幅はvisual streakの中心が最も振幅が小さく、網膜変性が中心でより進んでいることを示唆していた。また律動様小波は視神経乳頭の上方で大きくなっており、このことは視細胞の変性に伴い、その内層の変化は網膜部位によって異なることを示唆していた。組織学的な検討では、律動様小波が大きくなっていたvisual streak上方に網膜内層の厚みに変化はなく、この網膜電図の変化に伴う組織学的な変化は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、初めに視細胞変性に伴う網膜色素上皮の機能を検討するために、網膜変性が進行する過程で網膜部位による機能の差異を検討した。網膜変性は視神経乳頭下方のvisual streakの中心が最も進行が早いことが分かった。また12カ月では中心付近ではどの部位もほとんど機能が残ってないことが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
網膜変性は生後一年でvisual streak付近では、局所ERGが記録できないレベルまで変性が進行していることがわかった。今後は生後一年以上のTgウサギを使用して、網膜色素上皮の機能を検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ほぼ予定通りであったが、当初予定していたより旅費がかからなかったため、約7万円の繰越金が発生した。 網膜色素上皮の機能をみるため、網膜剥離を作成する予定であるがそのための遺伝子改変ウサギの購入に充てる予定である。
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