2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜色素変性における網膜色素上皮の機能異常と形態異常のメカニズムの解明
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25462709
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上野 真治 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80528670)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜電図 / 網膜色素変性 / 網膜色素上皮 / 網膜変性ウサギ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ロドプシンP347LTgウサギ(Tgウサギ)の網膜変性進行した状態における網膜色素上皮の機能及び形態を検討した。網膜色素上皮機能は網膜剥離モデルにて、形態を電子顕微鏡にて検討した。 Tgウサギは生後12か月で杆体機能がほぼ消失しており、錐体機能のみが残存していることを報告しているが、さらなる長期の経過観察は行われていなかった。今年度の研究にてウサギ22羽を検討したところ、網膜電図が約24か月で消失するTgウサギが出現し、生後36か月では全てのウサギのERGが消失した。すなわちこのウサギは生後36カ月までに視細胞の機能が消失することが分かった。 次にこの網膜電図が消失したTgウサギの網膜色素上皮の機能を調べるために、顕微鏡下にリン酸緩衝液を網膜下に注入し網膜剥離を作成し、網膜下液の吸収を検討することにより網膜色素上皮の機能を検討した。Tgウサギ4眼、WT3眼の検討では、両者とも網膜下液は翌日にほぼ消失しており、両群に差はみられなかった。このことから、視細胞の変性が進行し、視細胞がほぼ消失した状態でも色素上皮のポンプ機能は保たれていることが証明された。申請者は以前、ウサギの光学顕微鏡観察用の眼球切片を作成する際、Wild ウサギでは網膜剥離を生じないが、Tgウサギではほぼすべての切片で網膜剥離がみらることから、Tgウサギの網膜と色素上皮のポンプ機能及び結合機能が弱いことを予想していた。しかし、今回の結果からは網膜変性が進行しても網膜色素上皮のポンプ機能は保たれていることがわかった。 また、網膜電図が消失したTgウサギの網膜色素上皮を電子顕微鏡で観察したところ視細胞は消失していたが、形態的には大きな異常がないことも分かった。このことから、網膜変性が進んだ状態でもすぐには網膜色素上皮の機能及び形態が悪化するということはないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究で局所網膜電図による、Tgウサギの網膜局所機能に関しては、すでに論文が受理されVision Researchに掲載された。また、Tgウサギの長期経過に関してもすでにデータが出ており第119回日本眼科学会総会で報告した。まだ、網膜色素上皮の免疫組織的な検討までは進んでないが、研究はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度が最終年のため、研究計画通り進んでない走査電顕を用いた網膜色素上皮の形態観察及び免疫組織学的検討をおこなう。また、結果の出ているTgウサギの網膜電図の長期経過及びOCTによる組織変化に関しては英文論文への投稿を早い時期に行いたいと考えている。
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