2014 Fiscal Year Research-status Report
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25462715
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
金森 章泰 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (10444572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根木 昭 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00189359)
中島 一郎 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50333810)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 視神経脊髄炎 / 視神経炎 / ラット / アクアポリン / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの実験により、NMO患者血清投与7日後、視神経内のAQP4とアストロサイトのマーカーであるGFAPが減少していたが、この時点での軸索のマーカーであるneurofilamentの有意な変化を認めていないことが明らかであった。コントロール群は正常ヒト血清で処置した群とした。処置後7日目、14日目の視神経、網膜において、リアルタイムPCRおよびウエスタンブロッティング法、免疫染色にて、軸索輸送のマーカーであるkinesinの変化を検討した。Kinesinは順行性軸索輸送を司る蛋白である。処置後7、14日目の視神経切片で、血清を投与した部位の眼球側でkinesinの塊状の強発現が見られた。視神経切断モデル3日後をポジティブコントロールとして塊状の強発現数をカウントしたところ視神経切断群で有意に増加を認めた。NMO血清処置7日目ではコントロール群に比べ有意にNMO群で塊状の強発現数が多かった。KinesinのmRNAは処置後7 ,14日目の視神経で有意に低下、網膜では処置後7日目で上昇傾向があり、14日目で有意に上昇していた。視神経サンプルは血清投与部位から大脳側が大部分を占めており、血清投与部位の眼球側ではkinesinが停滞し、大脳側でkinesinが減少したと考えられる。本結果はNMO視神経炎モデルにおいて、アストロサイト障害の出現時より、軸索輸送が障害されていたことを示唆している。 また、ヒト免疫グロブリン(hIgG)静脈投与(IVIG)がNMOの急性期治療として模索され、難治性視神経炎に対しIVIGの全国治験が行われている。NMO血清投与ラットに対し、ヒト免疫グロブリン(hIgG)あるいは生理食塩水を尾静脈に投与し、網膜神経節細胞(RGC)および視神経線維の定量を行った。hIgG群では生理食塩水群に対し、有意にRGC細胞数および視神経線維が残存することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた軸索輸送障害の発生時期に関して、有意な結果を得ることができた。しかし、in vivoの系では、アストロサイト障害時における軸索障害出現のメカニズムを解明するには限界があり、別系統のアッセイが必要と思われる。Kinesinという順行性輸送のマーカーを検討したが、逆行性輸送等の検討も必要と思われる。また、ヒト免疫グロブリンが有効な治療法である結論が示唆されたが、これはまだn数が少なく、確固たる証拠にまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
アストロサイト障害により、なぜ軸索障害が早期に出現するのかを解明する必要がある。そのためには、neuro-glial transmitterとしてのグルタミン酸やATP,セリン等を検討する。グルタミン酸受容体に関しては、AQP4抗体によって細胞膜に存在するEAAT2が細胞内に移動し、グルタミン酸取り込み能がおちるという報告があり、本実験系でも確認する。しかし、in vivo系実験としては細胞間の相互作用を検討するには限界があり、in vitroにおけるアストロサイト、神経細胞の共培養実験を検討する。 ヒト免疫グロブリンの効果について、その濃度や投与時期を検討し、神経生存率が変化するかどうかを調べる。
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Causes of Carryover |
試薬が多く残存しており、新規購入分は予定より少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
残存試薬はほぼ使い切っており、追加実験のためには新たに試薬を購入する必要がある。 また、引き続きラットのn数を増やす必要があり、ラット購入が必要である。
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Research Products
(20 results)