2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病眼合併症におけるANGPTL2の機能に関する研究
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25462720
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
伊藤 康裕 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (70380996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 美紀子 熊本大学, 生命科学研究部, 准教授 (10284770)
谷原 秀信 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (60217148)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、増殖糖尿病網膜症の患者より採取した増殖膜や糖尿病黄斑浮腫の患者より手術時に採取した内境界膜のサンプルをAngptl2や血管内皮細胞のマーカーであるCD31やマクロファージのマーカーであるCD68などの免疫2重染色を行いAngptl2を発現している細胞の検討を行い、Angptl2が血管内皮細胞やマクロファージなどに発現している事が明らかになった。マクロファージに関してはAngptl2だけではなく、糖尿病網膜症の病態に深く関与している血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor: VEGF)なども分泌している事が明らかとなった。 ストレプトゾトシンを用いて誘発する糖尿病モデルマウスを作成しAngptl2の発現上昇を認めたが、免疫染色にてAngptl2の発現の局在を検討中であるがうまく行かず、現在免疫染色方法を試行錯誤している状況である。Angptl2ノックアウトマウスと野生型マウスにストレプトゾトシンにて誘発した糖尿病モデルマウスを作成し、網膜から蛋白を採取しELISAを行ったところ、intercellular adhesion molecule-1:ICAM-1、 IL-6、 MCP-1など炎症性サイトカインや白血球の接着因子の発現がAngptl2ノックアウトマウスにおいて抑制されている事が明らかになった。また、コンカナバリンAを用いた白血球や血管内皮細胞の染色では白血球の血管内皮細胞への接着がAngptl2ノックアウトマウスにおいて抑制されており、in vitroにおいても網膜血管内皮細胞株を用いてAngptl2が単球マクロファージの細胞株との接着を促進するか検討を行ったところ、Angptl2が血管内皮細胞と単球マクロファージの細胞との接着を促進する事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒトサンプルを用いた実験では、特に糖尿病黄斑浮腫の患者のサンプル入手がなかなか難しく、また免疫染色もサンプルが小さいだけに難しい。検討症例数がまだ少ないので、今後は増やす必要があると考えている。 また、マウスの免疫染色があまりうまく行っていないのでいろいろ条件を変えて検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病黄斑浮腫のサンプルの検討に関してはまだ少数であるため、現在さらに症例数を増やして検討を行う予定である。また、現在うまく行っていないマウスにおけるAngptl2の免疫染色をいろいろな条件検討を行いたいと考えている。Angptl2の網膜における局在が明らかとなれば、その細胞株を用いて、炎症や低酸素などの条件下でどのようにAngptl2の発現調整が行われているのか、シグナルを含めて検討を行いたいと考えている。 さらに、糖尿病網膜症の病態の一つである血管透過性亢進に関しても、Angptl2の生理作用として血管透過性亢進の作用もあるのでAngptl2ノックアウトマウスを用いて糖尿病網膜症の病態に関与しているかどうか検討を行う予定である。
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