2014 Fiscal Year Research-status Report
加齢黄斑変性症における上皮間葉転換のレドックス制御を標的とした創薬への基盤研究
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25462721
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
猪俣 泰也 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (50452884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川路 隆博 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (30423677)
高橋 枝里 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 助教 (60622602)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜色素上皮細胞(retinal pigment epithelial cells; RPE)における上皮間葉転換(epithelial mesenchymal transition; EMT)を検討する上で、ヒアルロン酸受容体CD44の架橋タンパク質のMerlinによるヒアルロン酸取り込みとEMTの制御を検討した。 ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE-19)を用いて、EMT誘導因子であるTNF-α刺激を行い、Merlinの発現、局在について検討した所、TNF-α刺激下ではMerlinの発現は減少し、膜貫通型受容体CD44との結合も減少した。 次にsiRNAを用いてMerlinの発現を特異的に抑制(siMerlin)した所、siMerlin細胞において、ERMタンパク質のリン酸化が亢進し、ヒアルロン酸の取り込みが有意に亢進した。siMerlin細胞ではTAK1-p38MAPK経路の活性化とBrdU取り込みが亢進し、BrdUの取り込みはTAK1阻害薬で有意に抑制され、TAK1阻害薬はTNF-αによるEMTも抑制した。以上よりMerlinはヒアルロン酸取り込みに伴うTAK1-p38MAPKシグナルの活性化を制御し、EMTの維持だけでなく細胞増殖にも関与していた。この経路は眼内の増殖性線維性疾患の新たな治療標的となると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RPE細胞のEMTモデルを用いて、EMTと酸化ストレスの相互作用による加齢黄斑変性における脈絡膜血管新生の機序を明らかにすることを目的としているが、MerlinがTAK1-p38MAPKシグナルの活性化を介し、EMTの維持、細胞増殖にも関与していることが判明し、眼内の増殖性線維性疾患の形成機序の一部が解明されたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスでの脈絡膜新生血管モデルを用いてEMT誘導が脈絡膜新生血管に与える影響を検証する。 レーザー障害部位において、Merlinの局在の変化を検討し実際の脈絡膜新生血管形成、繊維化の過程においてMerlinの役割を検討する。またsiRNAやTAK1阻害薬を用いてMerlinの発現を抑制することによるin vivoでの新規の脈絡膜新生血管形成阻害薬としての可能性について検討を行う予定である。
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