2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜格子状変性の発症に関わるCOL4A4遺伝子の詳細なゲノム解析
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25462725
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
西出 忠之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (90347344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
目黒 明 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60508802)
水木 信久 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90336579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜格子状変性 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
網膜格子状変性とは、眼球の赤道部から周辺部網膜において、鋸状縁と平行に走る紡錘形の境界不鮮明な菲薄化した網膜変性のことであり、外部衝撃や加齢により変性巣の周縁に網膜裂孔や網膜剥離を形成することもある。網膜格子状変性は複数の疾患感受性遺伝子が重なることにより発症する多因子性遺伝疾患であると考えられているが、未だ疾患感受性遺伝子の特定には至っていない。私たちは、日本人患者を対象としたゲノム全域を対象とした遺伝子解析を完了し、網膜格子状変性の感受性遺伝子としてCOL4A4(collagen, type IV, alpha 4)遺伝子を特定している。本研究では、COL4A4遺伝子を対象に詳細な遺伝子解析を進め、網膜格子状変性とCOL4A4遺伝子の相関性を明確にするとともに、疾患発症に対するCOL4A4遺伝子の作用機序を検討する。 COL4A4遺伝子領域および近傍領域を対象に網羅的な遺伝子変異解析を行った結果、COL4A4遺伝子のイントロン領域のSNP(single nucleotide polymorphism:一塩基多型)が網膜格子状変性の発症と最も顕著に相関する疾患感受性責任SNPであることを見出した。遺伝子発現解析の結果、疾患感受性責任SNPのリスクアリルはCOL4A4遺伝子の発現量を有意に減少させていた。したがって、疾患感受性責任SNPのリスクアリルを介したCOL4A4遺伝子発現量の減少が網膜格子状変性の発症に重要であることが示唆された。 今後継続して本研究を進めることで、COL4A4遺伝子に起因する網膜格子状変性の発症機序の解明が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、網膜格子状変性の発症に直接関与するCOL4A4遺伝子内の疾患責任遺伝子変異の特定を行う。 現在までに、COL4A4遺伝子領域内の網羅的な遺伝子変異解析を完了し、網膜格子状変性の発症に関与する疾患感受性責任SNPを特定している。さらに、この疾患感受性責任SNPがCOL4A4遺伝子の発現に有意に影響を与える可能性を見出している。 以上より、本研究は当初の研究計画のとおり、「おおむね順調に進展している。」といえる。今後引き続き研究を進めることで、当初の目標を達成できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度までに特定した疾患感受性責任SNPについて、新たな患者・健常者集団を用いて追認試験を実行し、再現性の評価・確立を行う。また、疾患感受性責任SNPを対象としたCOL4A4遺伝子の機能解析も進め、COL4A4遺伝子が関与する網膜格子状変性の発症機序の解明を行う。
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