2015 Fiscal Year Annual Research Report
マトリックス蛋白質LTBP2の機能と眼疾患への関与
Project/Area Number |
25462741
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
赤間 智也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10548788)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 疾患モデル動物 / 細胞外マトリックス / 緑内障 / 水晶体脱臼 / 毛様小帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは細胞外マトリックス蛋白質であるLTBP(latent TGFβ binding protein)の生物学的機能を研究している。これまでの研究でLTBPファミリー蛋白質の一つであるLTBP-2が、眼球で水晶体をつなぎ止めておく繊維状組織である毛様小体の形成に重要であることを明らかにした。ヒトにおいてLTBP-2遺伝子の変異が先天性緑内障や家族性水晶体脱臼に見られており、後者の病態がLTBP-2の機能不全による直接の症状であることが証明されたことになるが、LTBP-2と緑内障との関連については未だ不明な点が多い。そこで我々が作成したLTBP-2遺伝子変異マウスのバックグラウンドを、基礎研究で最も一般に用いられるC57BL/6J系統(B6)から緑内障を発症しやすいとされる系統であるDBA2系統(DBA2)に移し、それぞれの系統で野生型と変異型のマウスの眼圧を計測した。B6では野生型とホモ変異型マウスにおいて眼圧に有意な差は見られなかったが、DBA2では一年齢の加齢マウスにおいて野生型マウスよりもLTBP-2ホモ変異型マウスの眼圧が有意に高かった。このことはLTBP-2の欠損が緑内障の一つの指標である眼圧の上昇に少なくとも間接的に関与していることが示され、しかもマウスにおける眼圧の上昇には系統による違いが見られることから、LTBP-2以外の別の遺伝子発現の影響が強く関与することが示唆された。また網膜神経節細胞の脱落も野生型マウスに比べLTBP-2ホモ変異体マウスに多く見られたが、水晶体の脱落により二次的に網膜神経節細胞が障害されている可能性も考えられるため更なる解析が必要であると結論された。これらの結果は我々の作成したDBA2/LTBP-2欠損マウスがヒトの緑内障のモデル動物となり得る可能性があるものと考えられた。
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