2014 Fiscal Year Research-status Report
網膜神経節細胞を利用したON型-OFF型光受容システムの構築
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25462747
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
菅野 江里子 岩手大学, 工学部, 准教授 (70375210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 奈美枝 岩手大学, 工学部, 研究員 (60597516) [Withdrawn]
砂金 ひとみ 東北大学, 大学病院, 助手 (30400451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 網膜色素変性症 / 視細胞変性 / チャネルロドプシン / アデノ随伴ウイルスベクター |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)へ改変型ボルボックス由来チャネルロドプシン1遺伝子(mVchR1)、並びにハロロドプシン遺伝子(NpHR) を挿入し、発現ベクターを作製した。また、AAV2およびAAV8型のウイルス産生プラスミドに加えて、発現を高める為にキャプシドタンパク質を改変したAAV2M、AAV8Mを作製した。これらAAVを用いて、視細胞変性モデルであるRCSラットへ硝子体内投与を行った。その結果から、AAV2M型で、導入遺伝子発現効率が高い事が分かった。 本年度は、網膜組織標本を用いて、導入遺伝子発現細胞を確認したところほぼ網膜神経節細胞である事がわかった。そこで、今後はこのAAV2M型を実験に用いる事とした。また、我々は、IOGであるハロロドプシン(NpHR) (Zhang,F et al., Nature, 2007) の機能について、パッチクランプ法を用いて確認した。その結果、このNpHRは光に対する応答性が低い事がわかった。また、このタンパク質は細胞内で上手く発現できない事が分かった。そこで、膜移行配列を付け加えたハロロドプシン遺伝子を作製した。この配列により、細胞内での発現効率を上げる事ができた。しかし、その機能をパッチクランプ法により解析したが、やはり光に対する応答性が低いことが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は追加実験を行い、硝子体投与ではAAV2M型を用いた場合、遺伝子導入効率が高い事を確認した。また、網膜組織標本を用いて、導入遺伝子発現細胞を確認したところ、ほぼ網膜神経節細胞に遺伝子が導入されている事がわかった。この局在は、AAV2型を用いた遺伝子導入と同様に網膜神経節細胞が主である事が分かった。従って、今後の実験ではこのAAVM2型を用いる事とした。 網膜神経節細胞に導入するIOG遺伝子、mVchR1は既に我々の研究で機能を明らかにしている。しかしながら、もう一つのIOG遺伝子であるハロロドプシン(NpHR)については、その機能を確認しておらず、遺伝子導入前に調べる必要があった。そこで、NpHRを恒常的に発現させた細胞株を作製し、パッチクランプ法を用いて、光に対する応答性を調べた。その結果、光に対する応答性が低い事がわかった。この応答性では、モデル動物に発現させたとしても、機能するか疑問が生じた。我々が使用していたNpHRはZhangらの報告に従った遺伝子であり、可視化し発現させると細胞内で顆粒状を示し、よく発現しなかった。そこで、膜移行配列を付け替えたNpHRを新たに組み込み、発現ベクターを作製し、安定発現株を作製した。しかし、パッチクランプ法を用いてこの細胞の光応答を調べた結果、やはり応答性が低かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初予定していたNpHR遺伝子とmVChR1遺伝子を同時にRCS(rdy/rdy)ラットに導入し、反応性を調べる。mVChR1のみを遺伝子導入した場合と比較し、光に対する応答に変化が起こるか、視覚誘発電位測定等で調べたい。NpHRは、光に応じてクロライドチャネルを開け、イオンの流入をもたらす。したがって、クロライドチャネルを発現した細胞はOFF center様の反応を引き起こすと考えられる。これにより、より優れたコントラスト感度を得られるのではないかと考える。NpHRの反応性が低いとしても、mVChR1のみの場合と比較し、光反応性にOFF反応様の影響を与えられるのか、調べたい。 また、NpHR遺伝子についても、光感受性を高める為に遺伝子改変を行い、その機能を調べたいと考えている。
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Causes of Carryover |
NpHRの反応性は低い事が知られているが、我々の実験の結果は更に低い反応性である事を示した。そこで、モデル動物への遺伝子導入を見送り、詳細な特性を調べた。この為、本年度行う予定であった実験を次年度に行う事になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度の予算は、動物試験と細胞培養による機能評価に使用する。動物試験では、飼育管理も自ら行う必要があり、その予算が発生する。また、飼育環境を保つ為に遺伝子導入室の管理に換気フィルター等が必要となる。
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Research Products
(18 results)
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[Presentation] Hippocampal network dynamics in optogenetically induced seizure model.2014
Author(s)
M Iwasaki, S Osawa, R Hosaka, Yshiya Matsuzaka, H Tomita, T Ishizuka, E Sugano, E Okumura, H Yawo, N Nakasato, T Tominaga, H Mushiake.
Organizer
第37回日本神経科学学会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(Yokohama)
Year and Date
2014-09-11
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