2014 Fiscal Year Research-status Report
眼表面上皮細胞によるTLR3-EP3を介した炎症制御機構の解明
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25462762
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
上田 真由美 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (60398386)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上皮細胞 / 炎症制御 / 自然免疫 / TLR3 / EP3 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、“粘膜上皮細胞による炎症制御機構の解明”にある。申請者は、TLR3とEP3の間に今まで全く知られていなかった新規の相互作用が存在する事を世界で初めて見出している。つまり、眼表面上皮に発現するTLR3が炎症を促進し、そのTLR3を介した炎症をPGE2受容体EP3が抑制する事を報告している。本研究では、眼表面上皮による自然免疫機構を介した炎症制御機構を解明する。特にTLR3-EP3を介した炎症制御機構の解明に焦点を当て研究を行う。当該年度は、各種免疫細胞蛍光標識マウス(樹状細胞蛍光標識マウス(CD11c-YFPマウス)、マクロファージ蛍光標識マウス(CX3CR1-eGFPマウス)、好中球蛍光標識マウス(LysM-eGFPマウス))を用いてTLR3のリガンドであるpolyI:Cの点眼に対する角膜内各種免疫細胞の変化を解析した。TLR3のリガンドであるpolyI:Cを1ug/ulの濃度で10ul点眼したところ、角膜内の樹状細胞は、その数をまし中心部に浸潤するのが観察された、その一方、マクロファージや好中球には明らかな変化は認められなかった。また、TLR4のリガンドでありグラム陰性菌の細胞壁成分であるLPSを1ug/ulの濃度で10ul点眼しても角膜内の樹状細胞に変化は認められなかった。これは、角膜上皮細胞が、TLR3のリガンドであるpolyI:Cには、反応して各種サイトカインを産生するが、TLR4のリガンドであるLPSに対しては炎症性サイトカインを産生しない以前の報告と一致していた。今回の結果からもpolyI:Cが眼表面上皮細胞に作用して角膜内の樹状細胞に作用している可能性が考えられ、また実際に、polyI:C 点眼後の角膜上皮細胞では、さまざまな炎症性サイトカイン・ケモカインの発現が上昇していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画は、上皮細胞と免疫担当細胞の相互作用の解析の一部として各種免疫細胞蛍光標識マウス(樹状細胞蛍光標識マウス(CD11c-YFPマウス)、マクロファージ蛍光標識マウス(CX3CR1-eGFPマウス)、好中球蛍光標識マウス(LysM-eGFPマウス))の解析が入っており、この解析については、予定通り進行した。また、遺伝子間相互用については、現在、変化の認められた樹状細胞蛍光標識マウス(CD11c-YFPマウス)に、TLR3欠損マウスならびにEP3受容体欠損マウスを掛け合わせて、polyI:Cによる樹状細胞の制御機構におけるTLR3とEP3の役割解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の解析は順調に進んでいる。今後は、樹状細胞蛍光標識マウス(CD11c-YFPマウス)に、TLR3欠損マウスならびにEP3受容体欠損マウスを掛け合わせて、polyI:Cによる樹状細胞の制御機構におけるTLR3とEP3の役割解析を進め、上皮細胞による炎症制御機構をさらに詳細に明らかとしていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の研究は、おおむね順調に進行しているものの上皮細胞のよる炎症制御機構の詳細な解明には、まだまだ多くの実験が必要である。そのため、当該年度の研究費は、抑えて最終年度により多くの研究費を使用できるように工夫した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、上皮細胞のよる炎症制御機構の詳細な解明のために、繰り越した研究費を活用し、より多くの実験を行うとともに、生じた研究成果については積極的に国内・国外での発表を行う。
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