2015 Fiscal Year Annual Research Report
眼表面上皮細胞によるTLR3-EP3を介した炎症制御機構の解明
Project/Area Number |
25462762
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
上田 真由美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60398386)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | TLR3 / PGE2 / 眼表面上皮 / 眼表面炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目標は、“粘膜上皮細胞による炎症制御機構の解明”にある。申請者は、TLR3とEP3の間に今まで全く知られていなかった新規の相互作用が存在する事を世界で初めて見出している。つまり、眼表面上皮に発現するTLR3が炎症を促進し、そのTLR3を介した炎症をPGE2受容体EP3が抑制する事を報告している。本研究では、眼表面上皮による自然免疫機構を介した炎症制御機構を解明する。特にTLR3-EP3を介した炎症制御機構の解明に焦点を当て研究を行う。当該年度には、PGE2の産生を抑制することが報告されているrebamipideを用いて、TLR3誘導性炎症性サイトカインが抑制されるかどうかを検証した。その結果、ヒト培養結膜上皮において、rebamipideは、TLR3誘導性IL-6, MCP-1, CCL5, CXCL10等の炎症性サイトカインの産生ならびに発現を有意に抑制した。また、研究代表者はこのrebamipide点眼によりマウスのおいてTLR3誘導性のアレルギー性結膜炎が抑制されることを報告している。さらにこのrebamipide点眼は、ドライアイ疾患に対する治療薬として認可されている。そのため、TLR3が関係すると考えられるヒトアレルギー性角結膜疾患患者でドライアイを有する患者を対象に、rebamipide点眼を処方し、眼表面の所見ならびに、涙液中のサイトカインの変化を解析した。その結果、rebamipide点眼により巨大乳頭の縮小、ならびに、涙液中IgE, IL-8, MCP-1等が有意に抑制されることが明らかとなった。このことは、人においてもPGE2が眼表面上皮に優位に発現しているEP3に作用してTLR3誘導性のアレルギー炎症を抑制していることを示唆するものである。
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