2015 Fiscal Year Annual Research Report
小腸不全症の治療法-小腸化大腸の効率的作製のための研究
Project/Area Number |
25462773
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
野田 卓男 岡山大学, 大学病院, 教授 (50237848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾山 貴徳 岡山大学, 大学病院, 助教 (10380164)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733) [Withdrawn]
永坂 岳司 岡山大学, 大学病院, 講師 (30452569)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 小腸化大腸 / 小腸粘膜幹細胞 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
小腸粘膜を無粘膜大腸に効率よく再生させ小腸化大腸を作成する方法を確立することを目的とした。以前の研究により胎仔ラットの小腸をコラーゲン処理して作製した細胞塊溶液(organoid unit)に小腸粘膜幹細胞が含まれることを確認し移植に用いた。 雄性Lewisラットを開腹し、上行結腸約1.5cmを分離、腸間膜対側で縦切開し粘膜のみを剥離除去した。栄養チューブをステントとして再度管腔構造に再建した。再建した無粘膜大腸にorganoid unitを注入するだけでは粘膜再生が得られないので、上皮細胞増殖因子であるEGFを添加したorganoid unitを両端を盲端とした無粘膜大腸内腔に注入した.3週後にラットを犠死して無粘膜大腸内腔を観察したが、粘膜上皮の再生は島状に数か所認めるのみであった。 幹細胞が無粘膜大腸内腔に効率よく付着することを期待し、ステントを挿入した状態で両端を盲端とした無粘膜大腸にbFGF添加organoid unitを注入した。また、無粘膜大腸の一端に回腸1.5cmを吻合してその内腔にbFGF添加organoid unitを注入した。各々3週間後に内腔を観察した。ステントを挿入した状態で注入した無粘膜大腸内腔には粘膜上皮の再生が見られなかった。回腸を一端に吻合した無粘膜大腸内腔では、回腸側から粘膜の侵入が認められたがその他の部位では最初のラット同様、島状に部分的に再生上皮があるのみで回腸側の粘膜と融合するものではなかった。 今回の研究で、小腸粘膜幹細胞を無粘膜大腸内腔を覆うように再生させるには、分化促進因子の添加のみでは不十分と判断した。正常小腸を無粘膜大腸に吻合すると粘膜が侵入してくるので、これを利用して幹細胞からの再生効率を改善させる方法があるのではないかと示唆される。今後は、小腸粘膜幹細胞採取を胎仔を利用せず行う方法の確立、分化促進因子の添加以外の分化誘導を刺激する因子の利用、線維組織増殖の抑制などを行う必要があると考える。
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