2013 Fiscal Year Research-status Report
難治性小児固形腫瘍における光線力学的治療に関する基礎的研究
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25462784
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
渡邉 稔彦 独立行政法人国立成育医療研究センター, その他部局等, その他 (50306734)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 難治性小児固形腫瘍 / 光線力学的治療 |
Research Abstract |
~in vitroにおけるALA-PDT~ ヒト神経芽細胞種由来細胞株(NB1、NB69、IMR32)を用い以下の検討を行った①MTTassayによる腫瘍細胞生存率:各種腫瘍細胞株を96-well-plateに散布し、24時間培養した。培養plateに各濃度(1-1000μM)のALAを添加し、暗所にてさらに4時間共培養した。96-well-plateの全領域に5分間のLED光照射を行った。細胞はさらに24時間培養されたのち、MTT assayによりcell viability(%)を測定された。⇒いづれの細胞株においても、LED光照射後には50~80%程度のcell viabilityがあった。ただし培養ごとに細胞の生存率にばらつきがあり、培養法に問題があることが考えられた。②Confocal microscopeによる腫瘍細胞内PpXI蛍光の観察:腫瘍細胞を上記同様に培養したのち、適切な濃度のALAを添加して暗所にて4時間培養した。Confocal microscope観察下で、440nmの励起光を照射し、腫瘍細胞質内にPpIXによる赤色蛍光が認められるか観察した。⇒いづれの細胞株においても、腫瘍細胞の赤色蛍光を認め、ALAが腫瘍細胞内に取り込まれていることを確認した。しかしながら培養ごと、細胞株ごとに赤色蛍光の発光の程度にばらつきがあり、赤色蛍光が見られない場合もあった。 ~in vivoにおけるALA-PDT~ heterotopic xenograft model:ヌードマウス(SCIDマウス)に腫瘍細胞を皮下注した。①pre ALA-PDT 腫瘍細胞生着の確認、腫瘍サイズ評価⇒上記モデルにおいて、腫瘍サイズの計測を行った。8週間目まで毎週腫瘍サイズの計測を行い、徐々にサイズの増大を認めた。しかし細胞株ごとに腫瘍細胞の増大速度に差が見られたり腫瘍を形成しないものが見られ、生着率に差があることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、~in vitroにおけるALA-PDT~として、様々な細胞株においてまずはALAが腫瘍細胞内に取り込まれるのか、励起光により細胞増殖の抑制と細胞死誘導が起こることを検証する予定であったが、現時点ではヒト神経芽細胞種由来細胞株(NB1、NB69、IMR32)を用いるに留まった。①MTTassayによる腫瘍細胞生存率と、②Confocal microscopeによる腫瘍細胞内PpXI蛍光の観察、のみの検討項目までしか行えていない。しかしながら、ヒト神経芽細胞種由来細胞株においてはALAの細胞内集積が見られそうであること、励起光照射により細胞死誘導が起こっていることを確認できたこと、は今後の実験の進展に期待が持てる。 また、平成26年度の研究として、~in vivoにおけるALA-PDT~を予定していたが、vitroと並行して、まずはvivoで細胞株が生着するのかどうかの確認を前倒しにして行い、腫瘍サイズの増大を認めたことから、vivoでの検討モデルの確立ができたこと、は評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験の進行速度は、当初の計画よりやや遅れているが、vitro、vivoともに今後の実験の基礎段階を確認でき、更に定期的なカンファレンスと綿密な実験計画を見直すことで着実に進捗できるように行っておく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
~in vitroにおけるALA-PDT~にあっては、ヒト神経芽細胞種由来細胞株(NB1、NB69、IMR32)のみの検討しか行えなかったために、次年度への繰り越し使用額が生じた。横紋筋肉腫細胞株(NRS1)、ユーイング肉腫(SKES1、RDES、NCREW2)、腎ラブドイド腫瘍(G401、W3)、についても同様の検討を行っていく予定だが、まずは神経芽細胞種由来の細胞株のみの検討に集中していく。 ①MTTassayによる腫瘍細胞生存率、②Confocal microscopeによる腫瘍細胞内PpXI蛍光の観察を繰り返し行い、安定したデータを獲得する。その後、③腫瘍細胞内PpIX濃度測定、④RT-PCR法によるトランスポーターのmRNAの検出、⑤Immunoblot assayによるトランスポーターのタンパク発現の検出、と発展させていくために次年度への繰り越し研究費を使用していく。
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