2013 Fiscal Year Research-status Report
自己細胞由来血小板成長因子によるパーソナル治療剤の開発
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25462800
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢澤 真樹 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60327567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 泰昌 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, 研究員 (00296708)
松原 由美子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70365427)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血小板 |
Research Abstract |
自己細胞由来誘導性血小板を用い、血小板に含まれる成長因子による、パーソナル治療剤の基礎開発にむけて、本年度は、in vitro血小板分化に用いるヒト細胞ソースの検討を行った。 まず、これまで細胞ソースとしてiPS細胞、NE-E2遺伝子導入線維芽細胞、脂肪前駆細胞、造血幹細胞が報告されていが、いずれも血小板への分化誘導効率は約20%から50%であった。一方、造血幹細胞はin vitroでの増殖能を有さないこと、他の3つの細胞はその増殖能を有していることから、培養により得られた血小板数は、造血幹細胞由来とそれ以外で少なくとも約25倍の差を認めた。 次に、血小板の創傷治癒作用発現において重要と考えられている血小板活性化能を血小板機能測定機器(T-TAS)を用いて検討した。その結果、脂肪前駆細胞から作製された血小板の活性化能が高かった。脂肪前駆細胞は、造血幹細胞と同様に遺伝子導入を必要とせず、feeder-free、serum-freeでの血小板分化が可能であるため、早期臨床応用可能な作製血小板のソースとして適していると考え、更に作製血小板が含有する成長因子量の測定を行った。創傷治癒に関与するとされているPDGFとTGF-β1の遺伝子発現を確認後、脂肪前駆細胞から血小板分化誘導過程における培養上清中のタンパク濃度をELISA法により測定した。PDGFは少量であったが、TGF-β1は6 ng/mL (アブカム社ELISA使用)を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で用いる血小板は、分担研究者の松原により線維芽細胞で確立されており(Matsubara et al. Blood 2012)、細胞ソースとして線維芽細胞が最適かという点について、作成効率と含有成長因子の濃度測定により、検討を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製血小板が含有する成長因子量の測定を行った結果、創傷治癒に関与するとされているPDGFとTGF-β1の遺伝子発現が確認でき、脂肪前駆細胞から血小板分化誘導過程における培養上清中のタンパク濃度をELISA法により測定した結果、PDGFは少量であったが、TGF-β1は6 ng/mL (アブカム社ELISA使用)を認めた。これは血小板輸血製剤の血漿を用いて測定した際の約半分の値である。これら因子は刺激による血小板活性化に伴って培養上清中に放出されるが、今回は無刺激のbasal状態での測定の為に低値を示した可能性が高い。次年度は細胞由来血小板を刺激して成長因子が十分に放出されたサンプルを用いて測定を試み、in vivoでの実験の基礎を固めて進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は、効率的な物品調達を行った結果である。 消耗品購入に充てる予定である。
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