2014 Fiscal Year Research-status Report
心肺停止蘇生後症候群の予後予測因子としての遺伝子多型の関与に関する研究
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25462813
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡邉 栄三 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 成人 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90204205)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 救急蘇生学 / 心停止後症候群 / サイトカイン / 遺伝子多型 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
心肺停止(CPA)はその発生場所が病院内・病院外を問わず,大多数が死の転帰をたどる最重症の病態であり,心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation; CPR)により自己心拍再開(return of spontaneous circulation; ROSC)が得られても,低酸素性の蘇生後脳症をはじめとした様々な病態変化に陥り,結果的に救命できないことが多い.そして,それら救命率の向上及び神経学的予後の改善のためには高度な集学的治療を要する.そのようなCPA蘇生後の重症病態の背景には,多くの疾病重症度を反映するといわれる高サイトカイン血症も存在する.一方,様々な重症病態に遺伝的因子が影響を及ぼしていることが近年示唆されているため,今回,心停止後症候群(post-cardiac arrest syndrome; PCAS)の予後予測因子として遺伝子多型を検討することとした.その際,心停止後症候群(PCAS)の背景因子の多様を鑑み検討する症例を神経学的転帰からみた重症度を揃えることとした.ウルム大学及びASPER Biotecs社と共同で設計開発したASPER社製 SNPチップ(炎症反応関連の56 SNP搭載)の検証は前年度までに終了したことから,今年度は同SNPチップを用いて,生命倫理審査での承認のもとPCAS症例(神経学的転帰からみた重症度を揃えた)5例の遺伝子多型解析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回開発し得た56SNPに対する遺伝子多型解析だけでは,心停止後症候群(PCAS)の背景因子の多様さから,十分な検討が困難である可能性があり,神経学的転帰からみた重症度を揃えると十分な症例数に達しない可能性が出てきた.そこで,それらPCAS症例に対して網羅的遺伝子発現解析も平行して行ってゆく方針としたため,その準備に若干の期間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後,当ICU以外に,東千葉メディカルセンター,君津中央病院,千葉市立青葉病院のICUを加えた4施設共同研究として,蘇生に成功し集中治療管理を施行しえた患者の同SNPチップ解析と,網羅的遺伝子発現解析を推進する.網羅的遺伝子発現解析に関しては,福島県立医科大学医療-産業トランスレーショナルリサーチセンターと本学との間で共同研究契約を昨年度に締結済みで,同センターで遺伝子発現解析は行ってゆく.それらの結果をもとに,PCASの病態生理の首座をなす炎症反応の発症機序を考察する.将来的には,関東圏内の多施設で心肺停止症例の遺伝子多型解析(SNPチップ解析)を展開し,疫学的検討に遺伝学的検討を組み合わせた予後予測の可能性なども探ってゆく.
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