2013 Fiscal Year Research-status Report
一酸化炭素中毒治療標準化のための新規MRI技術を用いた遅発性脳症発症要因の解明
Project/Area Number |
25462817
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寺島 健史 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (00377160)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MRI / 拡散強調画像 / 一酸化炭素中毒 |
Research Abstract |
本研究は,新しいMRI撮像技術を用いた一酸化炭素(CO)中毒患者の大脳病変の経時的解析により,CO中毒の重症化のリスク要因を明らかにし,遅発性脳症の発症機序を解明すること,いまだ確立していないCO中毒における急性期からの標準的な治療法を提案することを目的としている。 本年はCO中毒患者についてプロトンMRスペクトロスコピーおよび拡散テンソルイメージングを用いた解析を継続する一方で,解析法の信頼性・汎用性を強化するため,他の神経疾患への適応を試みた。 具体的には,筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者群16名,頸椎症性脊髄症群(CSM)患者10名,健常対照者群10名について研究代表者が開発・作成したプログラムを用いて大脳各部位(中心前回,放線冠,内包後脚,大脳脚,脳梁膝部に関心領域を設定)のmean diffusivity(MD)値を算出し,各群間で多重比較検定を行った。また,MD値と罹病期間,臨床的重症度の指標(revised ALS Functional Rating Scale: ALSFRS-R)の相関関係についても検定を行った。 その結果,中心前回,内包後脚,大脳脚のMD値はALS患者群ではCSM患者群,健常対照群と比較し有意に高値であった。罹病期間と各部位でのADC値に有意な相関は認めなかった。一方で,ALSFRS-R値と内包後脚のADC値に関しては有意水準に達していないものの,ALSFRS-R値が低い患者ほどほどADC値が高い傾向を示した。 以上の結果は,研究代表者が開発した手法を用いて頚髄よりも上位レベルの錐体路のMD値を計測することは,ALSとCSMを鑑別する上での一助になる可能性があること,MD値がALS重症度のsurrogate markerとなりうる可能性があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発作成したプログラムによる脳画像の解析手法が,一酸化炭素中毒患者のみならず他の神経疾患でも適応可能であることを示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も本研究での解析手法の汎用性・信頼性を検証するために,幅広い神経疾患を対象とした解析を行うとともに,一酸化炭素中毒患者の解析・追跡を続けていく予定である。
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