2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462822
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 高志 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90501809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
剣持 一 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60215134)
橋爪 誠 九州大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90198664)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クラウド / 電子カルテ / 災害時の情報共有 / インシデントコマンドシステム |
Research Abstract |
平成25年における「クラウド型災害医療情報システムの開発と実験」では大きな成果を挙げることが出来たので報告する。 平成25年11月20日(木) 日本医師会本部で行われた「南海トラフ大震災を想定した衛星利用実証実験」兼指揮所訓練にて我々のクラウド型災害医療情報システムを用いて訓練を行った。訓練の概要は南海トラフ巨大地震が発生し各地に地震と津波により甚大な被害が発生した。各都道府県医師会は所定の計画に従って日本医師会災害医療チームJMATを編成して避難所および救護活動を速やかに開始した。全国の都道府県医師会と日本医師会をJAXAの衛星通信回線を用いて接続しテレビ会議を行うと同時に我々のクラウド型災害医療情報システムを用いて被災地の情報そして被災地の医療支援活動の詳細についてクラウド型災害医療情報システムを用いてリアルタイムで共有することが出来た。訓練後のアンケート調査でも全国の都道府県医師会より高い評価を頂くことが出来た。 平成25年11月30日(日)福岡県で行われた福岡県原子力防災スクリーニング訓練において本システムを運用した。九州電力玄海原子力発電所で臨界事故が発生し、糸島市から、被ばく(汚染)したおそれがある住民約120人が避難してきたとの想定で、福岡県の3箇所で放射線スクリーニング検査を実施した。我々は福岡市立福岡女子高等学校と大野城市総合体育館にスクリーニング検査の記録係を派遣し、我々のクラウド型災害医療情報システムを用いて記録を行った。スクリーニングの記入用紙は当初電子端末での入力を試みたが、実際の実施は短時間で行うため業務が追いつかないため、紙で記入した放射線スクリーニング検査をiPADカメラを用いてクラウド上に記録保存した。同時に離れた2箇所でのスクリーニング記録を閲覧することが出来た。またデータの保全を含めた個人情報保護が行われていることも確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.平成25年11月20日(木) 日本医師会本部で行われた「南海トラフ大震災を想定した衛星利用実証実験」そして平成25年11月30日(日)福岡県で行われた福岡県原子力防災スクリーニング訓練において、それぞれ異なる運用方法を用いてクラウド型災害医療情報システムを訓練で用い、円滑に作動することが確認できた。同訓練での成果をうけて、平成26年度での災害訓練でも本システムを用いることとなった。本システムが訓練で円滑に動作運用できる理由は、同システムの元になったOpennetKarteは医療法人八女発心会にて医療機関や老人保健施設そして在宅医療介護の現場において平時から運用されており、平時でのより複雑で高度な状況で継続的に使用され、運用のための様々なノウハウが蓄積されているためである。加えて日本医師会からの支援と理解を得て活動できることも研究が円滑に行われる理由として挙げられる。 2.欧米におけるクラウドを用いた電子カルテを含む医療情報システムは一般的になりつつあり、我々のクラウド型災害医療情報システムが欧米の基準からみて合致する妥当な内容であることが確認できた。 3.海外の災害医療情報システムとして、非営利の地図情報を用いた「Ushahidi」が有名である。情報収集、可視化用オープンソース地図アプリケーションの開発を行っている。また人道災害の初期評価を電子端末で行うKoboが有名である。しかし災害急性期において電子端末に各種情報を入力することは容易ではなく、我々が平成25年11月30日の福岡県で行われた福岡県原子力防災スクリーニング訓練において紙で入力した情報を写真情報で共有するシステムが妥当であることが再確認できた。 4.コストが実質的には実費(交通費及びサーバーの使用料金)のみであり、非常に経費を抑えることが出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
1.平成26年度の日本医師会での災害訓練(指揮所訓練)において平成25年度と同様に大規模災害を想定したシナリオにおいて我々のクラウド型災害医療情報システムを用いて情報共有を行うための訓練を実施する。 2.平成25年度の訓練での運用結果を論文としてまとめて発表する。 3.災害・危機管理のツールであるインシデントコマンドシステム(緊急時総合調整システム)とクラウド型災害医療情報システムを連結する実験を実施する。 4.災害医療教育においてクラウド型災害医療情報システムを紹介する。
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