2014 Fiscal Year Research-status Report
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25462822
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永田 高志 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90501809)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
剣持 一 九州大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (60215134)
橋爪 誠 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90198664)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | クラウド / 情報共有 / 電子カルテ / セキュリティー / データベース / ICT |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度における「クラウド型災害医療情報システムの開発と実験」では、平成25年に続いて成果を挙げることが出来た。クラウドを用いた医療情報のあり方について国内外の最新の状況についても知ることが出来た。1.平成26年12月10日 日本医師会で行われた「南海トラフ大震災を想定した衛星利用実証実験(防災訓練)」においてクラウド型医療情報システムを用いて指揮所訓練を円滑に実施することが出来た。今回の訓練ではクラウドの基本部分となるサーバーそしてデータベースに対する検証実験も行った。データベース開発の専門会社ムラクモの協力を得て大量のアクセスを複数のデーターベースに負荷分散する設計を構築し実施することが確認できた。米国においてGoogle社等では大量アクセスの複数データベースに負荷分散する方法としてHadoopという大規模データの分散処理を支えるソフトウェアフレームワークが一般である。しかしHadoopではデータの同期性に10秒を要し、リアルタイム解析・情報共有において課題が残ることが判明した。2欧米における電子カルテのクラウドがについて調査を行った。シカゴマラソンの救護班の診療録は紙ベースからクラウドベースのタブレット型に移行していた。2013年度では全体の傷病者の約40%がタブレットで情報収集することが出来た。収集されたデータは直ちに解析され、リアルタイムでマラソン大会指揮所において情報共有された。国際人同支援活動においてもクラウド化されたタブレット端末を用いて、被災地のニーズを集約するKOBOと言うシステムが確立された。2015年にボストン郊外で行われたハーバード大学による人道支援研修会の野外訓練において本部にデータセンターを設置し20チームが各地点から必要情報を入力し情報集約する実証実験を行い、制約の中でリアルタイムでの情報収集と解析、方針決定を行うことが証明された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「クラウド型災害医療情報システムの開発と実験」の実証実験は既に平成25,26年の日本医師会における災害訓練の中で実施され成功裏に終わることが出来た。従って、システムの開発の実験に関する研究の目標は達成することが出来たと思われる。 また本研究を通じて国内外の専門家と交流し、クラウドを用いた医療情報に関する様々な取り組みを知ることが出来た。ハーバード大学医学部教育関連病院のクラウド型電子カルテ、シカゴマラソンにおけるクラウドを基本としたタブレット端末、国際人道援助活動で用いられるKOBO等に取り組み実務者から生の声を聞くことが出来た。その中で、来るべき社会における情報通信技術そしてクラウド社会のあり方について様々な示唆を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
1.過去3年間の研究に関する報告書の作成 平成24-26年間に実施した災害訓練におけるクラウド型災害医療情報システムの運用実績(平成24-26年 日本医師会災害訓練および平成24-25年福岡県原子力災害訓練)および海外の各種取り組み、特にハーバード大学医学部教育関連病院のクラウド型電子カルテ、シカゴマラソンにおけるクラウドを基本としたタブレット端末、国際人道援助活動で用いられるKOBO等について紹介する。我々は災害時そして平時の電子カルテを含む医療情報システムは強力なデータベースに基づくクラウド化が必須であると結論づけた。 2.今後の研究の取り組みとして、Hadoopを超える通信情報技術を開発し、来るべきクラウド社会を先駆けたい。Googleをはじめとする多くのクラウドサービスはHadoopという大規模データの分散並列処理システムが用いられている。HadoopはJavaでつくられており技術的な理由によりデータ同期に10秒を要するため、リアルタイム解析や高速処理が難しい状況である。我々は5G社会到来に伴う大量データ社会を見据え、新世代の通信情報技術を開発し、その技術を医療分野に応用し、生体情報のビッグデータリアルタイム解析に基づくトリアージシステム、クラウド型電子カルテシステム、災害対応医療情報システム、病院前救護医療情報連携、地域医療連携、救急医療診療支援システム開発等の新しいイノベーションを開拓することを目指したい。
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Causes of Carryover |
平成26年度に未使用額が生じた理由であるが、予定されていた実験が低コストで実施することが出来たこと、そして予定していた学会参加を中止にしたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は平成27年度の研究の中で使用する。最終年度であり、研究成果発表のため積極的に学会出張を行う予定である。使用計画は以下の通りである。 米国出張費用 50万円、国内出張 1回8万円 5回=40万円、資料購入費20万円、報告書作成10万円
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