2013 Fiscal Year Research-status Report
単離肝血管の収縮メカニズムから見たアナフィラキシーショック時の肝臓の役割の解明
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25462827
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高野 博充 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70410313)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 循環 / 肝静脈 / 収縮 |
Research Abstract |
経壁神経刺激により刺激頻度依存的に一過性の収縮を観察した。この反応はTetrodotoxin (3 μM)存在下では見られなくなった。 この収縮は、Phentolamine (3 μM)によって抑制され、Propranolol (3 μM)を追加投与すると増加した。NG-nitro-L-arginine(100 μM)では有意な変化は見られなかった。これらの収縮反応はニフェジピン(1 μM)では変化せず、CPA(10 μM)やY-27632(10 μM)によって抑制された。 Phenylephrine (1 - 10 μM)またはAcetylcholoine (1-10 μM)はいずれも濃度依存的に収縮を引き起こした。これら両アゴニストによる収縮反応もY-27632により50%抑制された。以上の結果より、モルモット肝静脈は興奮性の神経支配を受けており、それは主にアドレナリン作動性で、一部コリン作動性のものが含まれることが分かった。その収縮メカニズムに電位依存性LタイプCa2+チャネルの関与は小さく、筋小胞体からのCa2+放出機構とROK経路を介する信号伝達経路が主であると考えられた。肝静脈細胞内カルシウム動態は蛍光色素fluo-4 AMを用いたカルシウム濃度測定方法の確立を目指した。fluo-8 AMのロード条件を濃度(1 - 10 μM)、ロード時間(5 - 30分)、ロード溶液(Ca2+濃度 0 - 1mM)およびロード温度(室温または37度)について検討した結果、0.5mM Ca2+を含んだロード溶液と濃度1-3 uMのfluo-4 AMを用いて、室温で30分間ロード後37度で30分間ロードすることで肝静脈平滑筋細胞内Ca2+濃度による蛍光をとらえることができた。この蛍光はアセチルコリン(3 - 10 μM)によってわずかに増強することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝静脈平滑筋細胞内Ca2+濃度変化の検出に手間取っている。当初想定したよりも細胞内Ca2+濃度変化は小さいためと考えられる。蛍光指示薬をfluo-4 AMよりも感度の高いfluo-8 AMに変え、指示薬の濃度を高めたりロード条件を厳しくすることで検出に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は決定できた条件を用いて肝静脈平滑筋細胞内Ca2+濃度測定を行う。神経刺激による平滑筋細胞内Ca2+濃度測定を行うための実験装置の設計組み立てを行い、神経刺激による収縮に関与する細胞内Ca2+動態の検出を行う。神経刺激にともなっておこる収縮反応がCa2+濃度測定に支障をきたすことが考えられるが、MLCK阻害剤を利用して収縮反応を阻害してその影響を減らせると考える。収縮実験で確認できたアドレナリン作動性反応に対応するCa2+動態の解明を目指す。実験は神経刺激によるCa2+反応がアドレナリン作動性受容体の抑制剤、細胞内Ca2+貯蔵部位(筋小胞体)の抑制剤(リアノジン、CPA)、細胞外Ca2+流入経路(電位依存性チャネル、ストア作動性チャネル)の抑制剤に反応性するかどうかを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞内Ca2+濃度測定の条件設定が計画通りに進まなかったため、当初計画していた実際の濃度測定を行えなかったためである。 前年度に細胞内Ca2+濃度の蛍光指示薬のための条件設定が完了したので、実際の実験を行う。刺激に伴う収縮反応を抑制するためのMLCK阻害剤、アドレナリン作動性受容体の抑制剤、筋小胞体からのCa2+遊離反応の抑制剤(リアノジン、CPA)、電位依存性チャネル、ストア作動性チャネルの抑制剤の購入に使用する。
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