2013 Fiscal Year Research-status Report
侵襲的人工呼吸に対する上皮細胞骨格応答メカニズムの解明と治療への応用
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25462828
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
橋本 壮志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60515279)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 集中治療医学 / 人工呼吸 / 肺損傷 |
Research Abstract |
機械的陽圧換気による人工呼吸は、急性呼吸窮迫症候群(Acte Respiratory Distress Syndrome; ARDS)などの傷害された組織の肺損傷をさらに悪化させることが従来より知られており、そうした病態は人工呼吸器関連肺損傷あるいは人工呼吸器誘発肺損傷と称されている。人工呼吸器関連肺損傷は、大きな一回換気量によるvolutrauma、高い気道内圧に伴うbarotrauma、肺胞の虚脱と再開通の繰り返しで生じるずり応力(剪断ストレス)によるatelectraumaなど複数の機序により生じると考えられている。さらに不適切な機械的陽圧換気は、肺構成細胞からのサイトカイン等の細胞障害性メディエーターの産生を増加させ、肺損傷の悪化(biotrauma)のみならず遠隔臓器の機能障害を引き起こす原因ともなりうる。過大な陽圧換気は物理的な肺胞上皮の過伸展を引き起こし、細胞ストレスを生じさせる一方、通常の自然呼吸下においても肺胞は拡張と縮小を繰り返すため、何らかの肺胞上皮細胞の形態ならびに細胞内恒常性を維持する機構が働いているものと推測される。実際に、陽圧換気に伴う肺胞上皮細胞をはじめとする肺構成細胞の細胞内環境の制御メカニズムに関しては、あまり明らかにされていない。現在、人工呼吸器誘発肺損傷のモデルを作成中であり、低容量換気群と高容量換気群に振り分け、機械的人工呼吸を行ったのち肺組織を摘出し、それぞれの肺障害の程度を組織学的に評価している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該研究の実施等に必要となる時間の配分が想定以上に大きく下回った結果、研究計画が遅滞したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究の実施等に必要となる時間の配分を十分に確保した上で、研究を推し進める予定である。また実験データをもとに、使用する動物種等の実験計画に、適宜修正を加えることで実験計画の推進を図り、人工呼吸器誘発あるいは人工呼吸器関連肺損傷に関する病態生理の解明に努めたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該研究の実施等に必要となる時間の配分が想定以上に大きく下回った結果、研究計画が遅滞し、想定される実験計画に狂いが生じたため。 当該研究の実施等に必要となる時間の配分を十分に確保し、さらに予備的な実験データを踏まえたうえで研究計画を適宜修正することで実験実現可能性を高め、研究を推し進めることとする。 人工呼吸器関連肺損傷モデルの作製および人工呼吸関連肺損傷の評価、タンパクの発現量と局在解析のため必要となる実験用動物、酵素試薬類、各種抗体、キット、実験消耗品等に1150千円、学会参加の旅費として150千円必要となる。
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