2014 Fiscal Year Research-status Report
細胞死関連核内タンパク質に焦点を当てたプロテオーム解析による敗血症の病態分析
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25462831
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
射場 敏明 順天堂大学, 医学部, 教授 (40193635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 宣宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (80267955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 敗血症 / 細胞死 / バイオマーカー / ヒストン / プロテオーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症病態は病原体の種類や量、宿主の免疫応答状態などによってダイナミックに変動する。敗血症診療においては、重症度とともに経時的に変化する病態を適切に捉えて治療を決定する必要がある。そこで敗血症発症時からの細胞死関連傷害マーカーの変動に注目し、臨床検体を用いてヒストンやヌクレオソーム、HMGB1などのdamage-associated molecular patterns (DAMPs)の測定が病態解析に有用であることを示した。さらに上記解析に加えて、細胞死に関連する核内タンパク質を網羅的、かつ経時的に、高性能血清プロテオミクス法によってパターン識別し、重症度評価を試みた。その結果、生存例と死亡例でタンパク質の変化数は大きく異なっていることが確認でき、これらのうち変化率が大きいものについてを同定を行なった。同定されたタンパク質は4つのグループ、すなわち1)急性相タンパク質、2)鉄代謝関連タンパク質、3)凝固関連タンパク質、4)補体系タンパク質に分類可能であった。このうち急性相タンパク質群に分類されるペントラキシン(PTX)ファミリーにについては、CRPやPTX3に細胞死に伴って逸脱するヒストンの傷害性を緩和する作用があり、侵襲下において生体保護的に機能していると考えられた。そこで現在、PTX3の保護効果についてさらに研究をすすめている段階である。鉄関連タンパクでもっとも変動が大きかった遊離ヘモグロビンとハプトグロビンについては、前者の組織障害性を後者が緩和するという関係にあり、後者の治療薬としての可能性が期待される。凝固・止血系因子や補体に関しても、それぞれ治療への応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究第一段階である、臨床検体の収集に関しては、予定通り30検体の集積を初年度に行なうことが可能であった。また、これらの検体におけるdamage-associated molecular pattern (DAMPs)の測定および解析も初年度に実施した。次年度には上記に続いてプロテオーム解析(アルブミン除去、二次元電気泳動、質量分析)を実施し、結果についての考察をすすめている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
変化率の大きいタンパク質の種類が予想よりも多かったため、それぞれの意義を検討するために予想以上の労力を要することになった。したがって、特定のタンパク質の増減とともに、タンパク群の変化をパターン認識して評価する方法を検討中である。また特に機能的重要性が確認された複数のdamage-associated molecular pattern (DAMPs)については、その制御を可能とする治療について研究をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
これまでの研究で同定された傷害性タンパク質ヒストンについては、その阻害効果が期待できるため、追加実践を予定している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験の実施に使用する予定である。
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