2013 Fiscal Year Research-status Report
ショック後腸管リンパ液生理活性および臓器障害に対する組織損傷の影響
Project/Area Number |
25462838
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
増野 智彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (00318528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 裕行 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60182698)
新井 正徳 日本医科大学, 医学部, 助教 (60267127)
塚本 剛志 日本医科大学, 医学部, 助教 (20626270)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 組織損傷 / 出血性ショック / 腸管リンパ液 |
Research Abstract |
外傷初期診療の進歩にもかかわらず、出血性ショック後に生じる多臓器不全による死亡率は依然高いままであり、その発生機序は未だ解明されていない。これまでの研究により、我々は出血性ショック後に生じる遠隔臓器障害の発生には、腸管血流の低下ならびに虚血腸管から腸間膜リンパ液内に産生される炎症性メディエータが深く関与していることを示してきた。また、実際の外傷症例では出血性ショックに加え、同時に広範な軟部組織損傷が生じていることが多く、損傷組織内には多くの炎症を惹起する内因性因子が含まれていることが示されている。これらの背景より、組織損傷が虚血腸管から産生される炎症性メディエータと相加・相乗的に作用し、外傷性ショック後の臓器障害発生に関与しているのではないかとの仮説を立てた。本研究では、外傷に随伴する組織損傷に着目し、「ショック後腸管リンパ液のもつ生理活性および臓器障害発生に、組織損傷がどのような影響を及ぼすかを解明すること」を目的として研究を進めている。 初年度の研究では、粉砕したラット軟部組織を健常ラットに移植する実験を行い、移植量を変化させながら生体への影響を観察した。マウスにおける先行研究をもとに移植量を決定し研究を開始したが、マウスと同じ対体重比組織移植量では、ラットにおいては反応が強くで過ぎるため、組織移植量を段階的に変化させ非致死的な移植モデルを作成した。現在これらのモデルから腸管リンパ液を採取し、その生理活性を測定中である。今後、腸管リンパ液生理活性を最大とする組織移植量を決定し、組織移植後に出血性ショックを加えることにより、組織損傷ならびに出血性ショックが、リンパ液活性および臓器障害に及ぼす影響を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の実験計画に乗っ取り研究は概ね順調に進行しているが、組織移植ラットモデルの作成に時間を要したため、計画はやや遅れた状態となっている。マウスを用いた先行研究をもとに移植組織量を決定し実験を開始したが、ラットにおいて反応性が強すぎるため、非致死的かつ腸管リンパ液活性を最大とする組織移植量を決定するのに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画に乗っ取り、引き続き研究を遂行する予定である。今後、組織移植量の変化により、腸管リンパ液生理活性がどのように変化するかを確認し、その活性を最大とする組織移植量を決定する。また、外傷性ショックを模倣し、組織移植に加え出血性ショックを生じさせることにより、組織損傷ならびに出血性ショックが、リンパ液活性および臓器障害に及ぼす影響を調べる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進行が当初の計画に比べやや遅れたため費用の使用が少なくなった。 25年度に計画されていた実験は引き続き予定通り26年度に行う予定であり、次年度使用額はその費用として使用する予定である。
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