2014 Fiscal Year Research-status Report
ラット出血性ショック蘇生後肺障害モデルにおける水素吸入療法の効果
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25462840
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
中尾 篤典 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (40648169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 倫子 神戸大学, 保健学研究科, 研究員 (40566121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 水素 / 出血性ショック / 肺障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ラットを用いて水素吸入療法が出血性ショック蘇生後肺障害に効果を示すかどうか、もし効果を示すのであれば、そのメカニズムは何か、を解明することである。 平成26年度は1時間の出血性ショック中および蘇生後、1.3%水素21%酸素77.7%窒素の混合ガスを吸引させた水素群と、21%酸素と79%窒素を吸引させたコントロール群を作成し、蘇生後1時間、3時間にて水素の効果を評価した。結果、3時間の方がより明らかな効果を確認できた。蘇生3時間後では、動脈血のPO2は水素吸入群で有意に改善し、 Lactateは水素吸入群で有意に減少した。脂質の過酸化を示すマーカーであるマロンジアルデヒドも水素群で有意に改善した。また、肺組織のHE染色で肺障害スコアを検討したところ、水素群で有意に肺障害スコアが低下していた。また、ナフトール染色を用いて肺の好中球数を確認したところ、水素群で有意に好中球数が減少しており、水素吸入は肺への好中球集積を軽減し、肺障害を緩和していることが示された。また、mRNAによる解析では、TNFは1時間、 IL-1β, IL-6, ICAM-1, iNOS, CCL2はいずれも3時間で水素群が有意に減少し、炎症が水素によって緩和されていることが示された。したがって、ラットを用いた水素吸入療法は出血性ショック後の肺障害に有用であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度には、水素ガス吸入の最適条件において、水素ガスが効果を発揮するかどうか、またそのメカニズムについて検討することを予定していた。水素ガスの効果ははっきりと確認することが出来たため、非常に順調に計画が進行している。メカニズムについてもある程度測定し、現在データ解析中であることから、予定していた内容に十分達していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降は水素ガス吸入の最適条件において水素ガスが効果を発揮するメカニズムについて検討する。具体的には水素がヘムオキシゲナーゼを誘導するメカニズムとその上流のシグナルや、炎症を抑制する効果が認められていることから、NF-kBなどの核蛋白の検出、in vitroの系を用いて免疫細胞など、肺関連細胞への水素の効果を確認すること、を予定している。また、他の時間帯において効果が得られるかどうかについても引き続き検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度はメカニズムの解明に予定していた試薬が一部未購入であったこと、予定していた海外学会への参加が出来なかったことなどから、次年度への繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度の結果から、当初予定していた試薬以外に別の試薬なども必要と考えられるため、それらの試薬類や細胞などの購入を行う予定である。また、引き続き国内外の学会参加や論文投稿の準備を進め、それらの旅費などに使用する予定である。
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