2013 Fiscal Year Research-status Report
衝撃波に起因するびまん性肺出血の病態解明と止血制御対策
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25462843
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (50539244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 学 防衛医科大学校, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
佐藤 俊一 防衛医科大学校, 防衛医学研究センター, 准教授 (90502906)
鈴木 英紀 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30158977)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Blast Lung Injury / レーザー誘起衝撃波 / 止血凝固作用 / 抗サイトカイン作用 |
Research Abstract |
爆発等の衝撃による多発外傷では、心血管・肝・腎等の重要臓器損傷とともに、肺出血が合併することが多い。我々はレーザー誘起衝撃波を用いて、ヒトのBlast Lung Injuryの病像に近似した致死性肺出血マウスモデルを作成しており、人工血小板としての機能を有するH12-ADP-liposomeが救命効果を発揮するか検討した。 H12-ADP-liposomeをマウスの尾静脈から投与した後に、レーザー誘起衝撃波(8J)を右側背から照射した(n=13)。生理食塩水投与(n=12)、分子標的性のないADP-liposome投与(n=10)、PBS-liposome投与(n=10)にも同様にレーザー誘起衝撃波を照射したところ、5日後の生存率はH12-ADP-liposome群が62%であり、生理食塩水群8%、ADP-liposome群20%、PBS-liposome群0%に比較して有意に良好であった。病理学的検討ではH12-ADP-liposome群は生理食塩水投与群に比べて非照射側(左側)肺での出血面積(pathological injury score)が縮小していた。透過型電子顕微鏡を含めた病理組織学検討では、レーザー誘起衝撃波によって毛細血管の破綻像(肺胞出血像)とともに肺胞への好中球浸潤を認めた。H12-ADP-liposomeを投与した群では好中球浸潤が減少し、H12-ADP-liposome自体が毛細血管で作用している像が確認された。また気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン(TNFα及びMIP2)濃度の上昇が抑制されていた。 H12-ADP-liposome投与は、衝撃波による致死的肺出血を制御し、有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究で、研究目標を達成するために具体的に検証すべき事柄が明確になっており、その方法や手技も習得し、実施段階に入っている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、H12-ADP-liposomeによる肺胞出血の減少(滲出液の減少)メカニズムについて、肺胞毛細血管を主座にした止血凝固作用の検証とH12-ADP-liposomeによる抗サイトカイン作用からの臓器保護メカニズムについて明らかにしていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬の使用量が当初の予定より少量で済んだことと、論文執筆にかかわる経費が一部、未使用に終わったため 現在、執筆中の論文についての校正費用や学会研究会で本研究内容について討論するための費用とともに、追加実験や発展的な研究内容への資金として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)