2015 Fiscal Year Annual Research Report
衝撃波に起因するびまん性肺出血の病態解明と止血制御対策
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25462843
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
萩沢 康介 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 助教 (50539244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
佐藤 俊一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (90502906)
鈴木 英紀 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30158977)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Blast Lung Injury / レーザー誘起衝撃波 / アデノシン / 止血作用 / 血小板代替物 |
Outline of Annual Research Achievements |
爆発等の衝撃波による外傷では致死性の肺出血を合併することが多い。今回、ヒトのBlast Lung Injuryの病像に近似した致死性肺出血マウスモデルを用いて、H12-ADP-liposome投与の救命効果について検討した。 【方法】 ①H12-ADP-liposomeを尾静脈から投与した後に、レーザー誘起衝撃波(以下LISW)(1.8J/cm2)を右側背から照射した(n=14)。H12-PBS-liposome投与(n=13)、標的性のないADP-liposome投与(n=10)、PBS-liposome投与(n=10)にも同様にLISWを照射して、5日後の生存率を比較した。各群の3時間後の気管支肺胞洗浄液(以下BALF)中のアルブミン濃度と炎症性サイトカインMIP-2濃度を測定した。②LISWを照射した後に、H12-ADP-liposome(n=12)またはH12-PBS-liposome(n=12)を尾静脈から投与し5日後の生存率を比較した。③アデノシン受容体拮抗薬をあらかじめ投与したうえで、H12-ADP-liposomeを尾静脈から投与し、LISWを照射した場合の予後の比較及びBALF中のアルブミンとMIP-2濃度を測定した。 【結果】 ①H12-ADP-liposome群の生存率は57%で、他群が0-20%であったのに対し有意に高値であった。病理学的検討ではH12-ADP-liposome群ではH12-PBS-liposome投与群に比べて肺の出血面積が縮小し、好中球浸潤も減少していた。BALF中のアルブミン濃度とMIP-2濃度は他の群に比べて有意に上昇が抑制されていた。②H12-ADP-liposome群の生存率は58%でH12-PBS-liposome群の8%に較べ有意に高値であった。③アデノシン受容体拮抗薬(PSB1115)の投与により、H12-ADP-liposomeの救命効果は消失した。BALF中のアルブミンとMIP-2濃度もH12-ADP-liposomeを投与していない群と同レベルまで増大した。 【結論】H12-ADP-liposome投与は、衝撃波による致死的肺出血の救命に有用である可能性が示唆され、その機序は止血効果とともにADPがアデノシンに代謝されて臓器保護効果を発揮することが示唆された。
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[Journal Article] Fibrinogen γ-Chain Peptide-Coated Adenosine 5' Diphosphate-Encapsulated Liposomes Rescue Mice From Lethal Blast Lung Injury via Adenosine Signaling.2016
Author(s)
Hagisawa K, Miyawaki H, Kinoshita M, Miyazaki H, Yanagawa R, Doi M, Takeoka S, Suzuki H, Seki S, Saitoh D, Nishida Y, Handa M.
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Journal Title
Critical Care Medicine
Volume: 44
Pages: in press
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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