2014 Fiscal Year Research-status Report
論理型多変量解析を応用した新規口腔扁平上皮癌臨床病理診断システムの構築
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25462865
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
関 幸子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科 (歯学系), 客員研究員 (90447491)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 通 長崎大学, 医歯薬学総合研究科 (歯学系), 教授 (00211029)
松浦 正明 帝京大学, 大学院公衆衛生学研究科, 教授 (40173794)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / 予後予測 / 病理診断 / 統計解析 / 炎症反応 / 上皮間葉移行 / podoplanin |
Outline of Annual Research Achievements |
長崎大学歯学部病院における口腔扁平上皮癌症例について、平成26年度には、自然免疫系として腫瘍間質における好中球浸潤とNK細胞浸潤を指標とし、獲得免疫系としてリンパ球浸潤を指標として病理学的に解析した。臨床情報を加えた上で、多変量解析を進め、単なる線形結合モデルではなく、我々が既に実績を出しているロジックモデル(因子にまたは・かつ等の条件を加えるモデル)の構築を試みた。その結果、口腔扁平上皮癌では強いリンパ球浸潤または好中球浸潤があり、かつ、NK細胞の浸潤が少ないものがそうでないものより予後がよいというモデルの構築に成功した。NK細胞は事前の感作なしに腫瘍細胞を殺すことができる重要な自然免疫防御系であるが、NK細胞の出現が多いと予後が悪いという結果となった。このことから、生体に害が多い侵襲性の高い口腔扁平上皮癌の周囲にはNK細胞が多く出現することがわかった。今まで各種悪性腫瘍でNK細胞の出現と予後の関連を解析した論文が出ているが、結果がはっきりしていなかった。今回の研究で病理組織標本上でのNK細胞出現の意義がより明快になるとともに、自然免疫系と獲得免疫系の炎症性指標を我々のロジックモデルを用いて判定することで予後予測に活用できると思われた。本研究成果を論文としてまとめる準備をはじめた。 次に、これらの症例を用いて口腔扁平上皮癌における上皮間葉移行(EMT)を解析する目的で、EMTの指標となるE-カドヘリン、N-カドヘリン、さらにはN-カドヘリンの誘導に関与することが生化学的に疑われている糖鎖切断酵素であるCD75の発現を免疫組織化学で染色糸、発現強度の分類を行った。今後統計解析を進め、予後との関連を明らかにする予定である。 また、前年度までに解析を終了したpodoplaninと口腔扁平上皮癌の予後に関する解析結果を学術論文として公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度より十分な準備を整えた上研究を進めてきたことから、薄切切片の準備、染色を効率よく行うことができた。また、我々はすでにロジックモデルの構築に成功していることから、複雑で多量の計算を必要とする統計解析も効果的かつ効率的に進めることができた。その結果、2年目までに成果を1報学術論文としてまとめ、2報目を執筆開始、3報目のデータを準備している状況であり、当初の計画を上回るペースで研究成果を公表できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症反応を指標とした口腔扁平上皮癌の予後予測モデルを学術論文として早い時期に公開する。さらに、現在統計解析を進めている上皮間葉移行と口腔扁平上皮癌の予後予測モデルの構築も今年度の半ばまでに終え、その成果を学術論文として公開する予定である。
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Research Products
(2 results)