2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周病菌を含めたバクテロイデーテス細菌の病原因子分泌機構の解明
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25462866
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70410579)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病菌 / プロテアーゼ / タンパク質分泌 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周病菌 Porphyromonas gingivalis はtype IX secretion system (T9SS) を使用して本菌の持つ複数の病原因子を分泌する。分泌装置がどのような仕組みで分泌タンパク質を認識・識別・分泌するのかを明らかにするために、まずは分泌タンパク質の持つ構造について検討した。主要な病原因子であり、結晶構造解析がおこなわれているジンジパインを対象に研究をおこなった。 ジンジパインはP. gingivalis のゲノム上にkgp, rgpA, rgpBの3つコードされている。いずれも似た様な構造を示すがRgpBが最もシンプルな構造を示し、シグナル配列、プロ領域、プロテアーゼドメイン、Ig-like ドメイン、C-terminal ドメインをもつ。ジンジパインのIg-like ドメインを欠失させると、T9SS輸送過程で分解されることから、このドメインが輸送過程において重要な領域であることが分かった。また、分解に関わるプロテアーゼは細胞内品質管理プロテアーゼであるHtrAであることがわかり、HtrAは折りたたみが不完全なタンパク質を分解するプロテアーゼであることから、Ig-like ドメインを欠失させたジンジパインはT9SS輸送されない構造をとっていることが示唆された。T9SSで分泌されるタンパク質は輸送されうる構造があり、輸送されうる構造をとれないものはHtrAなどの細胞内品質管理分子によって分解・除去されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分泌装置がどのような仕組みで分泌タンパク質を認識・識別・分泌するのか、という目的のうち、ジンジパインを用いた分泌タンパク質の解析については、細胞内品質管理分子も明らかにすることができているので順調といえる。 分泌装置の結晶構造解析については、結晶は得られているものの、結晶の質の改善に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
分泌タンパク質については、ジンジパイン以外の分泌タンパク質の結晶構造解析をおこない、分泌タンパク質の構造上の共通性についても検討する。 分泌装置について、引き続き結晶構造解析を試みる。
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Causes of Carryover |
抗体作成に使用する予定であったが、抗原作成に時間がかかり、前年度中に発注することができなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗原作成ができしだい、抗体作成発注に使用する。
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Research Products
(2 results)