2013 Fiscal Year Research-status Report
顎下腺・舌下腺分泌に対する摂食中枢の役割に関する研究
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25462887
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
美藤 純弘 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20240872)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 雅子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助手 (40156881)
松尾 龍二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30157268)
小橋 基 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80161967)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 上唾液核 / 視床下部外側野 / オレキシン |
Research Abstract |
1.電気生理学的実験(パッチクランプ法を用いた解析):ホールセルパッチクランプ法により上唾液核(SSN)ニューロンにおけるオレキシンによる主に興奮性シナプス伝達(グルタミン酸作動性)の調節機構を解析した。オレキシンはグルタミン酸作動性微小シナプス後電流(mEPSC)の頻度を増加させ、またペアドパルス比を増加させた。またこの応答はOXR1受容体アンタゴニストで抑制された。よってオレキシンはシナプス前性にOXR1受容体を介してSSNニューロンの興奮性を促進することが示唆された。 2.免疫組織化学的実験:SSNニューロンに投射するオレキシン作働性ニューロンの分布を分析した。すなわちSSNにフルオロゴールド注入することによって、SSNニューロンに投射する視床下部外側野ニューロンを逆行性に標識してオレキシンAに対する免疫染色を行った。色素注入が技術的に困難で例数がまだ1例しかないが、フルオロゴールド標識のオレキシンA陽性ニューロンは、視床下部外側野に広く分布しており局所性が無いように思われた。H26年度は例数を増やしてこの点を明確にしたい。 3.麻酔下ラットでのin vivo実験(予備実験):パッチクランプ実験から、オレキシンは主にORX1受容体を介してSSNニューロンを興奮させることが明らかになった。H26年度は、実際にオレキシンは唾液分泌を誘発するかどうか麻酔下ラットを用いて調べるのでその予備実験を行った。ペントバルビタール麻酔下のラットSSNに刺激電極を挿入して電気刺激(100 μA/10 Hz/20 s)を行い唾液分泌が誘発される部位を特定し、そこにオレキシン(20 pmole/200 nl)を投与したときの顎下腺分泌を調べた。電気刺激での分泌量は< 1 μlで非常に少なく麻酔の影響が考えられた。H26年度は麻酔の種類や深度を検討してトライしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由としてはトラブルなど2点が挙げられる。一点はパッチクランプ実験はアンプの故障のためオレキシンのSSNニューロンにおける抑制性シナプス伝達に対する影響を十分解析できていないことである(アンプの故障は予算内で復旧することを試みている)。もう一点は免疫組織化学的実験ではSSNニューロンに投射するオレキシン作動性の視床下部外側ニューロンの分布を十分に解析できていないことである。これはSSNは吻尾側的に成熟ラットでも約1 mmで色素の注入部位や注入量をコントロールするのが困難であった為であるが、技術的に確立しつつあるので克服できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、H25年度で検討が十分できていない点、すなわち電気生理学的実験では、オレキシンの抑制性シナプス伝達に対する影響について、免疫組織化学的実験ではSSNニューロンに投射するオレキシン作動性の視床下部外側ニューロンの分布を検討する。 同時にH26年度の課題である顎下腺唾液分泌に対するオレキシンの影響を麻酔下ラットを使って分析する。すなわち麻酔下ラットでSSNの位置を電気刺激することにより特定し、そこにオレキシンを投与したときの唾液分泌量を分析する。またSSNへのオレキシン受容体アンタゴニスト投与前後で、視床下部外側野を電気刺激したときの唾液分泌量を分析する。いずれのin vivo実験も麻酔薬の種類や深度を十分検討する。麻酔に関する点は、唾液分泌の中枢神経機構を考える重要な手がかりになる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パッチクランプ実験に使用するアンプが故障したのでH26年度に行うin vivo実験の予備実験を行ったが、使用する薬物など消耗品が異なったため。 H26年度の薬物など消耗品費として速やかに使用する予定である。
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Research Products
(10 results)