2015 Fiscal Year Annual Research Report
Nrf2による破骨細胞制御機構の解明と分子標的に着目した天然物リガンドの探索
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25462892
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10311846)
西下 一久 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20237697)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / Nrf2 / 酸化ストレス / 天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は Nrf2活性化作用を持ち、破骨細胞分化を阻害する作用が認められた天然物由来化合物に絞り、その破骨細胞分化抑制作用について分子メカニズムを調べた。その結果、リクイリチゲニンの破骨細胞分化抑制作用とメカニズムを明らかにし論文にした。さらに苗代イチゴ抽出物中の主成分であるサンギンに in vitro および in vivo において非常に低濃度で破骨細胞分化抑制作用があることを見出し、そのメカニズムを明らかにした。 これまでに我々は、コーヒー豆に含まれるジテルペン化合物であるカウェオールに破骨細胞分化抑制作用があることを明らかにし、そのメカニズムについて報告してきた。平成27年度は、カウェオールと同様にコーヒー豆に含まれるジテルペン化合物であるカフェストールにも破骨細胞分化阻害効果があることを見出し、その化学構造と破骨細胞分化抑制効果に関して興味深い知見を明らかにすることができた。即ち、カウェオールとカフェストールは化学構造上、1本の2重結合を除いて全く同じ化学構造であるにも関わらず、カフェストールは破骨細胞分化抑制作用が緩やかで、骨芽細胞分化促進作用を有していた。カウェオールとカフェストールでは Keap1 への結合がカフェストールの方が弱く、その結果、カフェストールはカウェオールよりNrf2を弱く活性化することが報告されていた。我々の結果もそれを支持するもので、カフェストールの方がより弱く第2相抗酸化酵素群を誘導した。これらの結果より、Keap1へ強固に結合する化合物よりも、比較的自由度のある構造によりKeap1への結合が緩やかな Nrf2活性化能をもつ化合物の方が、より毒性が少なく緩やかに破骨細胞分化抑制効果と骨芽細胞分化促進効果を持つ可能性が示唆された。
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