2013 Fiscal Year Research-status Report
上皮ケラチノサイトにおけるクロマチン制御転写因子FoxO1の役割
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25462906
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
八田 光世 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (30344518)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | FoxO1 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
本研究の目的は、クロマチン制御転写因子FoxO1が上皮ケラチノサイトにおける遺伝子発現および細胞特性の発揮にどのような働きをしているのか、その分子メカニズムを明らかにすることである。とくにFoxO1標的遺伝子領域クロマチンのエピジェネティック制御メカニズムに着目した解析をおこない「FoxO1がクロマチン構造調節を介して上皮ケラチノサイトの細胞特性を制御する」のではないかという仮説を検証する。 本年度は研究実施計画に従って、以下の実験をおこなった。 1. FoxO1発現量を変化させた上皮ケラチノサイトの作製:上皮ケラチノサイト株Pam212を用いてFoxO1に対するsiRNAのトランスフェクションによりFoxO1ノックダウン細胞、そしてFoxO1発現レトロウイルス導入により恒常的なFoxO1過剰発現細胞を作製した。それぞれの細胞におけるFoxO1発現レベルはReal-time PCRおよびウエスタンブロットにて確認した。 2. 上皮ケラチノサイトにおけるFoxO1標的遺伝子の同定:コントロール細胞、FoxO1ノックダウン細胞からRNAを抽出、さらにDNAマイクロアレイ解析をおこない網羅的に遺伝子発現変化を比較検討した。DNAマイクロアレイ解析により見出された発現変動遺伝子について詳細な解析を進めたところ、siRNAのオフターゲット効果による影響が大きいことが確認された。そのため、FoxO1により直接的に制御される標的遺伝子の同定まで至っていない状況であるが、今後さらに、FoxO1依存的な遺伝子発現変化の解析を続けることにより、FoxO1標的遺伝子を同定する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FoxO1ノックダウン細胞を用いて網羅的な遺伝子発現解析をおこなったが、オフターゲット効果の影響などにより上皮ケラチノサイトにおけるFoxO1標的遺伝子を同定できなかったため、本年度の実験計画よりやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、テトラサイクリン発現誘導システムを用いてFoxO1の発現を任意に誘導することのできる上皮ケラチノサイト株の作製に着手している。今後、この細胞を使用して非誘導時とFoxO1発現誘導時の遺伝子発現変化を網羅的に解析することで、上皮ケラチノサイトにおけるFoxO1標的遺伝子の同定をおこない、さらにFoxO1結合クロマチン領域の探索など、次年度の研究実施計画を推し進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、上皮ケラチノサイトにおけるFoxO1標的遺伝子を同定する実験において予想外の問題(siRNAのオフターゲット効果の影響)があり、当初の計画よりやや遅れることとなった。そのため次年度使用額が生じる状況となった。 次年度使用額と請求した助成金は、次年度におこなう予定であるテトラサイクリン発現誘導システムを用いたFoxO1発現細胞の樹立とFoxO1標的遺伝子の同定、また本来の次年度実験計画であるFoxO1結合クロマチン領域の探索やクロマチン修飾解析などをおこなう経費として使用する計画である。
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