2014 Fiscal Year Research-status Report
ストレス応答マイクロRNAが制御するMUC1の役割について
Project/Area Number |
25462923
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田代 茂樹 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (20300882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佛坂 由可 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10244089)
中村 卓 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30172406)
片山 郁夫 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (80295089)
市川 陽子 長崎大学, 病院(歯学系), 助教 (90380857)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | MUC1 / マイクロRNA / ストレス応答 / cPLA2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、本来は膜結合型糖タンパク質であるMUC1の多機能性、特に電離放射線、低酸素分圧(Hypoxia)、紫外線など様々な環境ストレス下における機能に注目した。 MUC1あるいはそのタンパク質のカルボキシル末端断片(MUC1-C)は膜、ミトコンドリア、小胞体と核内で別の働きを持ち、細胞の増殖やアポトーシスに深く関与していると考えられている。こうした様々な細胞内器官において、異なるストレスによる刺激に様々なメカニズムで対応している可能性がある。特に、われわれはマイクロRNA(miRNA)を介したMUC1発現制御が、こうしたストレス対応に極めて重要な役割を担っているのではないかと考えている。 よって、本研究の目的は外的ストレスに細胞が応答する際、それぞれのストレスに対応した異なるmiRNAが産生され、刺激の種類と程度に応じてMUC1の発現または糖鎖などのタンパク修飾がなされているという仮説のもとに研究を進め、MUC1が有する多様性がいかに重要であるかを検証している。 本年度は、環境ストレスである低酸素分圧(Hypoxia)に対する細胞応答に際してのMUC1およびmiRNAの役割を知るために、昨年度に引き続きMUC1の低酸素分圧に対する応答について検証した。これまでの予備実験の結果では、HeLa S3細胞を低酸素分圧条件下で培養すると、MUC1の発現レベルが培養開始後2時間以内に低下し、6時間後ではMUC1の発現が検知できないレベルにまで低下していたが、その原因タンパク質候補のsiRNAを導入して試してみたところ、ポジティブを示唆するデータが得られた(タンパク質名は論文発表まで非開示)。 さらに、cPLA2との関連も解析するため、cPLA2のノックアウトマウスが完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境ストレス(電離放射線、紫外線、温熱、Hypoxia)に対する細胞応答に際してのMUC1の役割を知るために、われわれの研究室で研究している因子との関連を昨年に引き続き検証した。特に、cPLA2との関連には興味を持っており、新規性も高い。今までの研究で作成してきたcPLA2のコンディショナルノックアウト(CKO)マウスはCreマウス(トランスポゼース発現マウス)との交配によってcPLA2ノックアウトマウスを作出することができる。実際の交配実験でも理論どおりにCreでトランスポゾンが飛び、cPLA2ノックアウトマウスが誕生した(昨年度報告済み)。今年度はこのノックアウトマウスをゲノム上でcPLA2 nullにする作業を行ったが、予想以上にcPLA2 nullの染色体がホモになる確率が低く、2段階での作出を余儀なくされた。少々は遅くなったが、安定してcPLA2 nullのノックアウトマウスが作出できるようになり、本研究での利用、解析が一層進むことになると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
環境ストレス(電離放射線、紫外線、温熱、Hypoxia)に対する細胞応答に際してのMUC1の役割を知るために、主に 環境ストレス応答し、且つMUC1に関与するmiRNAのスクリーニングと同定を行う。そして同定されたmiRNAを使った機能解析やMUC1と相互作用するタンパク質について詳細に解析する予定である。さらに、ライン化された培養細胞だけでなく、より正常細胞に近い初代培養細胞においても環境ストレス応答がMUC1と特異的miRNAによって制御されていることを解析していきたい。 また、cPLA2 nullノックアウトマウスより、MEF細胞を作製、または肺などから培養細胞を分離して、環境ストレス実験を行い、MUC1の挙動を観察し、cPLA2とMUC1の関係も明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
今年度にcPLA2ノックアウトマウスが完成した。次年度、数多く解析するためには常時遺伝子解析が必要となった。そのための解析キット購入とマウスを受け入れる輸送費のための資金を多く確保する必要があった。また、規模を大きくして飼育するために飼育料金も今までより多く必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスの遺伝子解析のためのPCRキット購入費、マウス受託飼育費、マウス輸送費(次年度に3~4回を予定)に使用する。
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