2013 Fiscal Year Research-status Report
組織拡散を決定する因子としての細胞膜表面糖タンパク構造について
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25462924
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
榮田 智 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80325662)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佛坂 由可 長崎大学, 大学病院, 講師 (10244089)
佐々木 美穂 長崎大学, 大学病院, 助教 (10437874)
中村 卓 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30172406)
片山 郁夫 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80295089)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞膜 / 糖タンパク / SDL仮説 |
Research Abstract |
組織内の拡散は、細胞膜の存在により運動を制限されると考えられているが、細胞膜の形態や構造、機能などのうち何が拡散に影響を与えているのかはまだよくわかっていない。われわれが水分子の動きを決定する因子として注目したのが細胞膜表面の糖タンパクの存在である。本研究では、細胞膜表面のタンパク構造が細胞膜近傍の水分子の動きを大きく阻害しているとする Slow-Diffusion Layer(SDL)仮説を提唱し、SDL 仮説をもとに糖タンパク構造がいかに拡散係数に影響を与えているかを実証することを目的としている。 本年度は、細胞内外や細胞膜近傍といったミクロの計測を行う為に共焦点レーザ走査型顕微鏡を用いた拡散計測ソフトによるRaster Imaging Correlation Spectroscopy(RICS)解析を行った。しかし当初計画していたこの解析方法では、流動的に動いている水分の動き情報をXYの一定の空間領域における平均化した拡散係数として捉えてしまう為に、細胞膜近傍における流動性の違いを得ることが出来なかった。そこで、Fluorescence Correlation Spectroscopy (FCS)解析を試みた。この解析方法では流動的に動いている水分の動き情報をXYの一定点において計測できる方法であり、いくつかの計測点を置くことで、細胞膜上や細胞膜近傍の水分子の動きの違いを拡散係数として捉えることができた。実際、細胞膜上では拡散係数は低下し、細胞膜から離れるにつれて拡散係数は上昇するという結果を得ることができ、SDL仮説の可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
拡散値の計測において、共焦点レーザ査型顕微鏡によるミクロの計測の結果は得られた。またin vitro 拡散強調 MR イメージングシステムによるマクロの計測も現在行っており、順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、apoptosis や necrosisといった各種ストレスにより起こる細胞の変化に伴って拡散係数がどのように変化するのかを計測し、SDLの存在を実証し、細胞表面の糖鎖が組織の拡散に与える影響について検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度計画の一部変更に基づくもの マイクロビーズを用いたSlow-Diffusion Layer (SDL)モデルの作製を行うため。
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