2014 Fiscal Year Research-status Report
ケモカイン遺伝子の発現制御におけるメディエーター複合体の役割
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25462928
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
大森 喜弘 明海大学, 歯学部, 教授 (50194311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 美紀 明海大学, 歯学部, 助教 (30419717)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写制御 / ケモカイン / STAT1 / NF-κB / Mediator / CDK8 / CXCL9 / CXCL10 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症反応や免疫応答には局所の微少環境下に存在するサイトカインなど多くの細胞外シグナルによって調節されている。申請者らは、interferon-gamma (IFNγ)によって活性化する転写因子STAT1と細菌由来リポ多糖 (LPS)や腫瘍壊死因子 (TNFα)によって活性化する転写因子NF-κBがケモカインをはじめとする多くの炎症性遺伝子の転写制御においてコアクチベーターを介して協調的に働くことを明らかにしてきた。しかしながら、STAT1とNF-κBによる協調的な転写機構の全容については未だ不明な点が多い。そこで本研究課題では、転写活性化因子とRNAポリメラーゼII (Pol II)とを統合する働きを持つメディエーター複合体 (Mediator complex)のケモカイン遺伝子の発現制御機構における役割について検討することを目的とする。 本年度は、メディエーター複合体の主要な構成サブユニットであるCDK8のケモカイン遺伝子の転写制御における機能的役割についてsiRNAを用いたノックダウンによる解析を行った。その結果、IFNγとTNFαによるケモカイン遺伝子の相乗的な発現誘導は、CDK8のノックダウンによりその発現が増強した。この結果は、CDK8がケモカイン遺伝子の発現を負に制御していることを示唆するものである。この負の制御がケモカイン遺伝子特異的に認められる現象か検討する目的で他のIFNγ誘導性遺伝子について検討したところ、ケモカイン遺伝子と同様に負に制御している遺伝子群とCDK8の関与がない遺伝子群が存在することが認められた。現在、CDK8による負の制御機構ならびに遺伝子特異的な制御のメカニズムについてさらに検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メディエーター複合体のサブユニットの一つであるCDK8の機能解析を行うため、siRNAによるノックダウンを行い, CXCL9 などのSTAT1とNF-κBによって制御されている遺伝子発現における役割について解析を行った。その結果からCDK8が上記ケモカイン遺伝子の発現を負に制御していることを明らかにした。さらにこの負の制御がケモカイン遺伝子に特異的なものなのか、検討するために他の遺伝子群についても同様の検討を行い、CDK8によって制御されている遺伝子群と関与のない遺伝子群が存在することを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
この後の予定としては、CDK8がどのようにケモカイン遺伝子を負に制御しているのか、また遺伝子特異的な制御メカニズム、さらにCDK8による転写制御に細胞特異性が認められるかなどの解析を行ってゆく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度はsiRNAによるノックダウンを主体に実施し、その条件設定が比較的問題なく進めることができたため予算に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
CDK8以外のメディエーター複合体の構成サブユニットの機能解析についてさらにsiRNAによるノックダウンを実施する。また当初の研究計画で実施予定であるChIPを次年度内に合わせて実施する。さらにCDK8による転写制御のメカニズムの解析も実施する。
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