2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカイン遺伝子の発現制御におけるメディエーター複合体の役割
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25462928
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
大森 喜弘 明海大学, 歯学部, 教授 (50194311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣井 美紀 明海大学, 歯学部, 講師 (30419717)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写制御 / ケモカイン / STAT1 / NF-kB / Mediator / CDK8 / CXCL9 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症反応や免疫応答には局所の微少環境下に存在するサイトカインなど多くの細胞外シグナルによって調節されている。申請者らは、interferon-gamma (IFNγ)によって活性化する転写因子STAT1と細菌由来リポ多糖 (LPS)や腫瘍壊死因子 (TNFα)によって活性化する転写因子NF-κBがケモカインをはじめとする多くの炎症性遺伝子の転写制御においてコアクチベーターを介して協調的に働くことを明らかにしてきた。しかしながら、STAT1とNF-κBによる協調的な転写機構の全容については未だ不明な点が多い。そこで本研究課題では、転写活性化因子とRNAポリメラーゼII (Pol II)とを統合する働きを持つメディエーター複合体 (Mediator complex)のケモカイン遺伝子の発現制御機構における役割について検討した。 まずメディエーター複合体の主要な構成サブユニットであるCDK8のケモカイン遺伝子CXCL9の転写制御における機能的役割についてsiRNAを用いたノックダウンによる解析を行った。その結果、IFNγ単独刺激によるCXCL9の発現はCDK8のノックダウンにより増強された。またIFNγとTNFαによるCXCL9の相乗的な発現誘導は、CDK8のノックダウンによりその発現が有意に増強した。また低酸素環境がCXCL9の発現を抑制するが、この発現抑制もCDK8のノックダウンにより解除された。これらの結果は、CDK8がCXCL9遺伝子の発現を負に制御していることを示唆するものである。この負の制御がCXCL9遺伝子特異的に認められる現象なのか検討する目的で他のIFNγ誘導性遺伝子について検討したところ、CXCL9遺伝子と同様に負に制御している遺伝子群とCDK8の関与がない遺伝子群が存在することが認められた。これらの遺伝子群はいずれもSTAT1依存性であるが、その転写制御はプロモーター領域におけるメディエーター複合体などの制御因子が深く関与していることが明らかとなった。
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