2015 Fiscal Year Annual Research Report
金属化合物とフッ化物が象牙質コラーゲンの分解と脱灰に及ぶす影響
Project/Area Number |
25462949
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中嶋 省志 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (90571282)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | フッ化亜鉛 / 根面う蝕の予防 / 脱灰抑制 / コラーゲン分解抑制 / サホライド |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的:高齢者人口の増加などの社会的背景を受けて、根面う蝕の罹患の増加が懸念される。根面う蝕は歯の喪失の原因の大きな理由の一つである。その予防は、高齢者のQOLの維持や医療費の削減に貢献できる。 根面う蝕の発症と進行の効率的な抑制には、脱灰の抑制とコラーゲンの酵素的分解の抑制の両面が必要とされる。最近の臨床研究で、フッ化ジアミン銀(以後SDFと略:商品名サホライド)に高い根面う蝕の予防効果が示された。しかしSDFは歯面や歯肉に黒や褐色の着色を引き起こし審美的に問題があり、使用には大きな制約がある。そこで着色を起こさない新規の根面う蝕予防剤の開発が望まれる。 コラーゲン分解に対して、本研究では将来の臨床的応用性(安全性、歯を着色させない)を視野に考慮してフッ素と亜鉛を含む化合物(フッ化亜鉛:ZnF2)に注目し、脱灰抑制効果とコラーゲン分解抑制効果をインビトロで評価し、実用化の可能性を検討した。
研究の成果 (1)脱灰抑制効果:ZnF2の効果を検討した結果、コントロール群(無処置)と比べて大差なかった。これは水に対する溶解性が低いことに起因すると考えられた。そこで最小量の塩酸で溶解し(以後ZnF2/HClの略)、その効果を評価したところフッ素として約5倍濃度のSDFやフッ化カリウム(KF)と同程度の高い効果を示した。しかもSDFのような着色は認められなかった。 (2)コラーゲン分解抑制効果:SDFに非常に高い効果が認められた。これはSDFに含まれる銀によると考えられる。しかしKFには全く効果はなかった。一方、ZnF2/HClにはコントロール群と比べて抑制効果を認めたが、SDFと比べてまだ十分ではなかった。この原因のひとつにSDFの濃度が36%と非常に高いことに対し、ZnF2/HClは3.37%と低いことが考えられる。今後、より高い濃度での検討が必要である(現在、査読中)。
|
Research Products
(6 results)